キャピタルA、LCC事業を再編 デジタル事業に注力
【シンガポール=谷繭子】格安航空(LCC)大手のエアアジアを傘下に持つマレーシアのキャピタルAは8日、LCC事業を関連会社のエアアジアXに売却するグループ再編を発表した。LCC事業を一本化して運営を効率化し、キャピタルAはデジタル事業などで成長を目指す。
売却するのは、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンなどで「エアアジア」の名で短距離LCC事業を手掛けるエアアジア・アビエーションなどキャピタルAの全額出資子会社2社だ。中長距離LCCを運営するエアアジアXに株式交換方式で売る。
エアアジアXにはキャピタルAが約13%出資している。LCC売却の価格など条件は発表していない。キャピタルAはLCC統合計画を2022年に明らかにしていたが、このほど拘束力のない提案書に合意した。24年半ばまでに手続きを終える見通しだ。
キャピタルAは旅行アプリや配車アプリなどのデジタル事業、貨物宅配、機体整備など、LCC以外の事業でも多角化を進めてきた。トニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)はLCCの売却で「市場が過小評価しているキャピタルAの非航空事業の本来の価値が認められる」と述べた。
キャピタルAは新型コロナウイルス禍で航空事業が打撃を受け、上場するマレーシア証券取引所から、経営難企業に再建を促す「PN17」に指定された。LCC売却による再編で経営をてこ入れし、指定解除を目指す。
エアアジアXは大幅な債務減免を経て経営再建中だ。同じくPN17指定を受けていたが、23年11月に解除された。LCC事業の統合で規模を拡大し、成長に向けた資金調達などがしやすくなると同社はみている。
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