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ソウル線 4年ぶり復活
米子空港と韓国・ソウル近郊の
■地域間交流の象徴
ソウル線は2001年、山陰初の国際定期便として週3便で運航を始め、18年10月には週6便に増便。県と韓国・江原道の友好提携など地域間交流を象徴する存在だ。19年10月に日韓関係の悪化で運航を休止したが、県は韓国の航空会社「エアソウル」と交渉を続け、再開にこぎ着けた。
その後は好調な利用が続く。エアソウル米子支店によると、搭乗率は10月が89・6%、11月87・2%、12月も80%半ばに達する見込み。山根保彦支店長は「この冬はカニや温泉を目当てにしたインバウンドが増えそうだ」と予測する。
■毎日運航への期待
再開当日、
増便がかなえば、第3国から仁川を経由した観光客の呼び込みも現実味を帯びる。仁川は欧米の主要都市やアジア各地から路線が集まる東アジア随一のハブ空港だ。
今月18日には米子と香港を結ぶ定期便(週4便)が期間限定で復活したが、インバウンド増加への期待は<空>だけではない。今年3月、境港市の旅客ターミナル「境夢みなとターミナル」に20年4月の開港後初めて国際クルーズ船が寄港。クルーズ船全体の寄港回数は昨年の4回を大幅に上回る28回に上った。
■受け皿に課題
官民で山陰の魅力を発信する「山陰インバウンド機構」(米子市)の森本誠人事務局長は「カニや温泉のハイシーズンが過ぎた春以降、大山登山や山陰海岸のマリンアクティビティーを定番の観光メニューにできるかが勝負」と話し、受け入れ側の環境整備に目を向ける。例えば、対象の観光施設が利用し放題になる同機構の「デジタル周遊パス」。利用は好調という。
一方、米子市の皆生温泉ではコロナ禍で減らしたスタッフ数が戻らず、ほぼ全ての旅館で人手不足。客室の約1割が稼働できない状態が続く。温泉街は20、21年と年間宿泊客数が20万人台に落ち込んだが、今年は35万人まで回復。今後、供給不足が顕著になると懸念されている。皆生温泉旅館組合の河津幸雄事務局長は「工夫や取り組みは旅館で様々だが、受け入れ体制を充実したい」と話す。
観光は地域振興の鍵だ。改めて地域の魅力を掘り起こし、観光客をきちんともてなせる体制を整えることで、インバウンド増加の機会を逃さないでほしい。(東大貴)