船舶検査証書ないまま運航　沈没前のカズ・ワン　運輸安全委が調査報告書

運輸安全委員会は２１日、北海道・知床半島沖で観光船「ＫＡＺＵ　Ⅰ（カズ・ワン）」が沈没する前年の令和３年５～６月に起こした２件の事故の調査報告書を公表した。乗客３人が負傷した５月の事故は、直前の定期検査で改善を求められた不備を是正せず、船舶検査証書の交付を受けないまま運航する法令違反があったとした。

２件の事故では、カズ・ワンの沈没で死亡した豊田徳幸船長＝当時（５４）＝とは別の人物がそれぞれ船長を務めており、報告書は豊田船長と同様に経験の浅さを指摘した。

運航会社「知床遊覧船」は２件の事故について北海道運輸局から特別監査を受けた。安全委は沈没事故の調査報告書で、特別監査後も安全管理体制は改善されなかったと指摘している。

沈没事故は４年４月２３日に発生。乗客乗員２６人のうち２０人が死亡、６人が行方不明になった。