宿泊客と和やかに会話を交わす大森会長(右)
宿泊拒否できる「特定要求行為」の具体例

 従業員に対する客からの理不尽な要求に対し、宿泊拒否を可能にする改正旅館業法が13日、施行される。全国有数の「温泉県」である群馬県の観光地に客が戻りつつある中、現場からは「従業員を守る後ろ盾ができた」と歓迎の声が上がる。一方で、「拒否しにくい場合も多い」との懸念もあり、一般客に周知が進むかが課題となっている。

 「バスの時間は大丈夫ですか」「うどん店へ?ご案内しますね」。忘年会シーズンを控えた11月下旬、伊香保温泉の旅館「和心の宿大森」(渋川市)では、従業員がチェックアウトを済ませた客と和やかな会話を交わしていた。大森隆博会長(67)によると、予約客数はコロナ禍前の水準に回復したという。

 今回の法改正で、過剰なサービスや、土下座など不相当な謝罪を繰り返し求められた場合に、旅館側が客の宿泊を拒めるようになる。現行法では宿泊拒否を原則禁止しているが、コロナ禍に客から感染対策の協力を得られなかったり、過度な対応を求められたりした宿泊業界から見直しを求める意見が上がっていた。