サービス収支4年5カ月ぶり黒字 旅行収支が最大
財務省が8日発表した10月の国際収支統計(速報)によると、旅行収支を含むサービス収支は3438億円の黒字だった。黒字は2019年5月以来。インバウンド(訪日外国人)が回復し旅行収支の黒字が最大になったことが下支えした。
経常収支は2兆5828億円と9カ月連続の黒字となった。前年同月は1490億円の赤字だった。経常収支の黒字幅は比較可能な1985年以降で過去最大だった。
経常収支は海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す。輸出から輸入を差し引く貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。
サービス収支の黒字を支えたのは訪日外国人数の回復だ。旅行収支は3207億円の黒字で、比較可能な1996年以降で最大だった。日本政府観光局(JNTO)によると10月の訪日客数は単月で初めて新型コロナウイルス流行前の2019年同月の水準を超えた。
近年はIT大手が提供するネット広告やクラウドサービスなどの利用が増え、デジタル関連の収支の赤字が定着していた。新型コロナの影響で旅行収支の黒字も縮小していた。
10月は旅行収支を除いた「その他サービス」の収支も732億円の黒字になった。知的財産権等使用料が大幅に増えたが、特定の製薬大手の受け取りが増えた影響が大きい。