混雑可視化で効率的な周遊へ 箱根の観光デジタルマップ公開、12月に完全版に

箱根観光デジタルマップ。タクシー乗り場の待ち人数などが分かる
箱根観光デジタルマップ。タクシー乗り場の待ち人数などが分かる

箱根町観光協会は観光客増に伴う混雑対策として準備を進めてきたデジタルマップを今月、公開した。現在はタクシー乗り場の混雑状況など機能を一部に限定して情報発信し、12月には人工知能(AI)に基づく渋滞予測や割引のデジタルクーポンの配信も行う完全版に移行する。混雑状況の可視化で観光客に効率的な周遊をしてもらい、満足度向上とオーバーツーリズム(観光公害)の改善につなげる。

同観光協会は今月6日、「箱根観光デジタルマップ」を公開した。現在提供されているのは駐車場やタクシー乗り場の混雑状況、飲食店情報など。完全版には12月11日午前10時に移行し、町内に設置されたAIカメラの情報などを踏まえた渋滞予測や、混雑していない地域の飲食店のお得なデジタルクーポンの提供開始を予定している。

路線バスなどの交通情報のデータを集約、発信し、交通手段の選択に役立ててもらう。渋滞情報などを考慮した周遊ルートも提案し、効率的な周遊、観光客の分散を促していく。インバウンド(訪日外国人客)も利用できるように英語など多言語対応としている。

新型コロナウイルス禍で激減した観光客数は復調し、令和4年はコロナ禍前(平成30年)の8割ほどに相当する1736万人に達した。大涌谷など主要観光スポットへのルートが限られ道幅も狭いことから慢性的に渋滞が発生し、観光客のストレスになるだけでなく、地元住民も使う路線バスに遅れが出るなどオーバーツーリズムが課題となっている。

箱根観光デジタルマップはこうした状況の改善に向けた新たな一手と位置付けられており、国の実証事業として始め、同観光協会が継続的に取り組む。同観光協会の佐藤守専務理事は「国の力も借りながらデジタルのテクノロジーを生かして(観光客の)満足度をさらに上げ、喜ばれる観光地に一歩近づきたい」と意気込む。

箱根観光デジタルマップのQRコード
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