万博参加国の代表者招きツアー 訪日客を各地に誘客へ 伝統から最新まで日本の技術アピール

平安神宮(京都市左京区)を訪れる参加者ら=16日午後
平安神宮(京都市左京区)を訪れる参加者ら=16日午後

2025年大阪・関西万博の運営主体「日本国際博覧会協会」(万博協会)は16日、万博に参加を表明している国や地域の担当者に、関西各地の魅力を知ってもらうためのツアーを実施した。万博を契機にした誘客、消費の拡大などにつなげようと、万博会場のある大阪だけでなく、関西各地で工夫をこらしたツアーが組まれた。

「アメージング(素晴らしい)」

この日、8カ国から約10人が参加した京都市内を巡るツアー。京都市左京区の平安神宮でガイドから説明を受けた参加者たちは、鮮やかな朱色を基調とした建築に歓声を上げていた。コースには友禅染体験や医療の発展などに貢献する京都大発のベンチャー企業の講演会なども組み込まれており、考案した京都府の担当者は「伝統文化だけでなく、最先端の技術が京都にあるということを世界に発信する絶好の機会だ」と説明した。アフリカ南部にあるエスワティニからの参加者は「京都は美しい景色があり、素晴らしいまち。講演も興味深かった」と感慨深げに話していた。

関西を巡るツアーは、14日から2日間にわたって大阪市内で開かれた万博の情報を提供する国際会議の参加者を対象に実施した。ほかに世界遺産の高野山を参拝する和歌山県内のツアーや琵琶湖を巡るツアーなど関西6府県で計15コースを用意。内容は地元自治体を中心に考案したという。

持続可能な観光振興を

日本政府観光局によると、10月の訪日客数は251万6500人で、単月で初めて新型コロナウイルス禍前の水準を超えた。急回復する訪日客を呼び込み、観光振興につなげようとする動きが全国で広がる中、関西では万博来場を目的とした訪日客が各地を周遊することにも期待がかかる。今年3月には官民一体で観光振興に取り組む協議会が設立された。

ただ、関西では、観光客が京都や大阪に集中していることや観光客1人あたりの消費単価が低いことなども指摘されている。万博を契機とした誘客のポイントとして、日本総合研究所・関西経済研究センターの藤山光雄副所長は「各地域の知名度を上げ、観光客の分散周遊を促進することが重要」と述べ、その上で「観光が『量』から『質』へシフトしていく中で関西の観光はまだ弱い。多様な体験ができることなどを発信して、いかに観光消費単価を伸ばしていくかが課題となる」と話している。(清水更沙)

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