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紅葉の観光シーズンを迎える京都で、宿泊施設の人手不足が深刻化している。コロナ禍を経て戻ってきた訪日外国人客が堅調で、京都市内の客室稼働率は9割近くに達する見通しだが、慢性的な人材難に加え、相次ぐホテルの開業で人材の争奪戦が激しく、働き手の確保は容易ではない。(京都総局 畝河内星麗)
団体客断る
3連休が始まった3日、京都・嵐山の渡月橋は観光客でごった返していた。
それでもホテル関係者の表情は浮かない。あるホテルの担当者は「募集しても人が集まらない。勤務シフトの回数を増やしてしのいでいる」と打ち明ける。コロナ禍で客足が遠のいた時期に減らしたレストランのスタッフも補充できていない。短時間のアルバイトをスマホのアプリで募集してやり繰りしているが、団体客の受け入れを断らざるを得ない日もあるという。
江戸時代から続く綿善旅館(京都市中京区)では、コロナ禍で客室の稼働率を半分に抑えたが、修学旅行生らの宿泊需要が回復した現在もその状態で営業する。
京都市観光協会によると、昨年1年間の観光客数は約4361万人。月別では紅葉が見頃となる11月(約468万人)が最も多く、客室稼働率も80・2%と3年ぶりに8割を超えた。今年は、訪日外国人客の宿泊が後押しし、11月の稼働率は89・2%と、コロナ禍前と同水準に回復する見込みだ。
特有の事情
宿泊施設の人手不足は全国的な問題だ。総務省の労働力調査によると、昨年の宿泊業の就業者数は53万人とコロナ禍前の2019年から12万人減少した。
市観光協会が6月、市内の宿泊施設を含む152事業者を対象にした調査では7割が「人手不足」と回答した。職種別では、接客業で人手が足りないと答えた割合が46%に上った。昼夜を問わない勤務体系や賃金など待遇面から敬遠されているとみられるが、京都特有の事情もある。
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