札幌市のホテル、1泊1万円で宿泊税計400円 素案判明
札幌市が導入を目指す宿泊税で、宿泊料金に応じて課税額が変わる「段階的定額制」の導入を検討していることが分かった。1人1泊につき5万円未満で200円、5万円以上では500円とする。市は宿泊税の導入で年間27億円の税収を見込む。
宿泊税は市とは別に北海道も検討している。道が9月に開いた有識者懇談会では1人1泊1万円未満で100円、1万円以上5万円未満は200円、5万円以上では500円を課税する案が提示された。
市と道の素案がそのまま実施された場合、旅行者や出張者などが負担する宿泊税の合計は1万円未満で300円、1万円以上5万円未満は400円、5万円以上では1000円となる。1泊5万円で1000円の宿泊税がかかる自治体は京都市や北海道倶知安町がある。
税負担が重くなるのは宿泊料金が1万円のケースだ。宿泊税の総額は400円となり、京都市や福岡市の2倍の水準となる。総務省は「宿泊料金1万円で現状、最も高い宿泊税は200円だ」と説明する。
道内の多くの自治体が宿泊税の導入に前向きで、札幌市の素案は今後のひな型となる可能性がある。例えば函館市は1人1泊200円の定額制の宿泊税を導入する方針だったが、道が独自案を示したことで全面的な見直しを迫られた。大泉潤市長は「札幌市や道と水面下で話している。その中で私が判断する」と述べている。
札幌市は近く、ホテルなど観光関連の関係者に素案を説明する。ただ導入には議会で条例を可決したうえで総務相の同意が必要だ。自治体関係者からは、市と道がそれぞれ宿泊税の導入を進めると「税負担が重くなり理解を得られないのではないか」との懸念もあがる。
段階的定額制の宿泊税は、全国で導入事例がある。東京都は02年から宿泊料金1万円以上1万5000円未満で100円、1万5000円以上では200円を課税し、金沢市も19年から2万円未満は200円、2万円以上では500円を課税している。
札幌市は当初、宿泊料金にかかわらず一律200円を課税し、北海道と分け合う方式を想定していた。ただ外資系ホテルの開業計画が市内で相次ぎ宿泊単価の上昇が見込まれることや道の素案を踏まえ、段階的定額制に切り替えた。徴収した宿泊税は公共交通の整備や観光案内所の運営などにかかる費用にあてる。
(燧芽実、塚田源)