米ボーイング、2500億円赤字 民間機の品質問題響く
【ヒューストン=花房良祐】米航空機ボーイングが25日発表した2023年7〜9月期決算は最終赤字が16億3800万ドル(約2500億円、前年同期は33億800万ドルの赤字)だった。民間機部門は製造品質に問題が発覚したうえ、防衛部門も大統領専用機の製造コストが上昇して不振だった。
売上高は前年同期比約13%増の181億400万ドルだった。
小型機「737」を巡っては生産ペースが想定よりも遅れることが明らかになった。ボーイングは同日、23年に「737」を375〜400機納入する目標を公表した。従来目標は400〜450機としていたが、引き下げる。航空機部品メーカーの米スピリット・エアロシステムズが供給する胴体部品の製造に不手際が発覚したためで、増産が計画より遅れる。
「737」は新型の派生機が18〜19年に2度の墜落事故を起こし、納入を一時停止していた。ただ、燃費性能が高いため航空会社からの引き合いは強く、20年に安全対策を終えて納入を再開したボーイングは、早期の増産を目指していた。
「737」の納入の遅れは航空業界に影響する。欧州格安航空会社(LCC)大手ライアンエアーは、同社の今冬の便数が想定よりも減ることを明らかにしている。
日本企業が製造に参加する中型機「787」については、23年に70〜80機を納入する目標を維持した。
米大統領専用機「エアフォースワン」2機を巡っては、製造コストの上昇が響き、4億8200万ドルの損失を計上した。エアフォースワンはトランプ前大統領が納入価格が高すぎると不満を表明して値切った経緯がある。
23年通年のフリーキャッシュフロー(純現金収支)の目標は30億〜50億ドルで維持した。デビッド・カルフーン最高経営責任者(CEO)は同日のアナリスト向け説明会で「課題はあるが、復活に向けた歩みは間違っていない」と話した。
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