静岡県知事、リニア効果「内容お粗末」 国交省試算に
静岡県の川勝平太知事は23日、国土交通省が20日に発表したリニア中央新幹線の全線開業後の県内経済効果の試算について「内容がお粗末。あきれている」と話した。メリットは認めつつも東海道新幹線の停車本数が仮定に基づいている点やダイヤの決定権者がJR東海であることなどを指摘。「国交省は試算を生かしてJR東海と責任をもって交渉してほしい」と注文を付けた。
国交省はリニア開業で東海道新幹線の輸送量が3割ほど減ると試算した。この余力を生かして東海道新幹線の県内停車回数が現状の5割増になると仮定。観光消費の拡大などにより10年間で1679億円の経済効果が県に生まれると発表していた。
リニア静岡工区は県が環境や水資源への悪影響を懸念しており着工の見通しが立っていない。国交省は県側にリニア開業の利点を示して議論前進も狙っていた。ただ実際のダイヤは運営会社のJR東海が決めるため、停車本数は仮定に過ぎない。
23日の記者会見で川勝知事は「リニア開業で県内停車が増えるのは自明。それがまるで5割増のような印象を与えかねない」と話した。国交省の担当者が発表内容について県への説明を打診していると明らかにし、「お粗末な内容のため実際に会って色々聞きたい」とした。