路線バス運転手が足りない…続々と減便・廃止、運転手確保に苦しみ広告で「このままではヤバいです」

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 各地の路線バスが運転手の不足により、減便や路線廃止に追い込まれている。運転手の残業規制が強化される「2024年問題」で人手不足は今後、一層深刻化する見通しで、市民の貴重な足を守ろうと、官民挙げて運転手確保の取り組みが進んでいる。(越村格、辰巳隆博)

半数近くが転職

バス事業の廃止を発表した金剛自動車の路線バス(9月25日、大阪府富田林市で)
バス事業の廃止を発表した金剛自動車の路線バス(9月25日、大阪府富田林市で)

 「長年のご愛顧に心から感謝申し上げます」。9月11日、大阪府 富田林とんだばやし 市の近鉄富田林駅前の金剛バス停留所に、12月20日をもってバス事業の廃止を知らせる紙が貼られた。

 金剛バスは同市を含む4市町村の駅や住宅街を結ぶ路線バス。運行会社の金剛自動車は利用者減で10年以上前から赤字経営が続いていた。

 経営難に追い打ちをかけたのが、コロナ禍後の観光需要の回復だった。昨秋以降、30人いた運転手のうち13人が、待遇の良い他の観光バス会社などに転職。新規採用に応募もなく、白江暢孝社長は「運転手を確保できる見込みがない」として、運行継続は困難と判断した。

 地元の4市町村は別のバス会社に運行の引き継ぎを打診している。通勤で利用するという大阪府河南町の公務員(54)は「自宅から最寄り駅まで歩くとなると、1時間半もかかる。地域の足を何とか残してほしい」と訴える。

2万人不足試算

 国の統計によると、21年度のバス運転手は約11万6000人で、12年度から1万3000人余り減った。

 背景には、乗客の減少に伴う慢性的な経営難がある。国土交通省の調べでは、21年度、30車両以上を保有するバス会社の94%が赤字だった。運転手の年間所得(22年)は全産業平均より98万円少ない399万円で、月労働時間は16時間多い193時間。賃金の低さと労働時間の長さが、運転手が敬遠される要因となっている。

 さらに、2024年問題が重くのしかかる。改正労働基準法施行で24年4月から、1人当たりの労働時間が短縮されるため、路線維持に必要な運転手の確保はさらに困難となる見通しだ。日本バス協会(東京)が約800社を対象に先月まとめた試算によると、24年度に2万1000人、30年度に3万6000人の運転手が不足するという。

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