米ホテル業界、需要復活でも従業員減ったまま-新たなストの火種にも
Augusta Saraiva-
宿泊業界の雇用者数、コロナ禍前に比べ依然23.8万人少なく
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ラスベガスの失業率は6.1%-全米の大都市圏で最高水準
米国の観光業は新型コロナウイルス禍による打撃から復活した。しかし、宿泊施設に従業員は戻っていない。
新型コロナ禍の最中、ホテルやリゾート施設は減員体制で運営していく術を学んだ。各種セルフサービス化やハウスキーピング回数の削減などだ。そうしたコロナ時代の応急措置は今や、人件費上昇に対処しようとする多くの企業で新常態となっている。
さまざまな業界での雇用が2020年の水準を上回った一方で、宿泊業界での雇用者数はコロナ禍前に比べてなお約23万8000人少ない水準。そして、このギャップは今後も続くとみられる。
影響が最も顕著に表れているのが、4人に1人がレジャー・接客業に従事しているラスベガスだ。ラスベガスでの失業率は6.1%と、全米の大都市圏で最も高い。
同地では至るところでテクノロジーが駆使されている。大手ホテルではセルフチェックインやモバイルキーにより、宿泊客はフロントを通らずに客室に入ることができる。MGMグランドなどのリゾート施設では、ドリンクの自動販売機が各種カクテルを作ってくれる。マリオット・インターナショナル傘下のルネッサンスでルームサービス業務を担っているのは、「エルビス」と「プリシラ」という名前のロボットだ。
しかし、新しいテクノロジーやコスト削減策への反発は、ラスベガスの調理師組合(CWU)が40年ぶりに市全域でストライキを起こす要因になるかもしれない。約4万人の組合員をカバーする労使契約は期限が終了したばかりであり、来週にはストを巡る投票が予定されている。
「私たちがいなけばラスベガスは存在しなかっただろう」。こう語るのは、カジノホテルのパークMGMで27年働いてきた組合員のバーテンダー、ラドナ・ティーターズさん(59)だ。「宿泊客の体験をより強く、より思い出深いものにし続けることができるよう、仕事に戻れることを望んでいる」
原題:Hotels Use $40,000 Robots and Self Service to Fill US Labor Gap(抜粋)