世界遺産・姫路城でプロの通訳ガイド不足が深刻化…地元NPOが養成講座を開催へ

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 世界遺産・姫路城の観光案内をするプロの通訳不足が深刻な状況になっている。新型コロナウイルス禍でインバウンド(訪日外国人客)が激減した影響で、外国人をもてなす観光ガイドのスペシャリスト・全国通訳案内士が仕事を失い、別の職に就くなどしたためだ。兵庫県姫路市でイベント企画や人材育成などを担うNPO法人・姫路コンベンションサポートは全国通訳案内士の国家資格を持つ人を対象に、10月から「姫路城英語ガイド養成講座」を開く。(田辺貴司)

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 コロナ禍前には、姫路コンベンションサポートに約30人の全国通訳案内士が登録。しかし、感染拡大に伴う外国人客の入国制限も重なり、その多くが離れざるを得なくなった。復帰を呼びかけているが、戻ってきてくれそうな人は数人にとどまっているという。

 一方、入国制限が緩和され、姫路城の訪日外国人客数は回復傾向にある。姫路市の入込客数・観光動向調査報告書などによると、2018、19年度は40万人近くで全入城者の4分の1を占めたが、コロナ禍が続いた20、21年度は1万人に満たなかった。22年度には10万人にまで回復、23年度はさらに増えるとみられるという。

 観光案内所での国・地域別の対応数では、コロナ禍前は台湾がトップだったが、20年度以降はフランス、米国に。対応言語は英語が多くを占める現状から、英語ガイドの育成が急務と判断した。

 養成講座は全8回。1~3回はガイドの心得や城内の各箇所での見所、説明の方法、時間配分を学ぶ。4回目は郷土史家が姫路城の防御システム、刀匠が日本刀の歴史などをそれぞれ講義。5回目以降は姫路城で外国人モニターを案内する実践研修などを行う。

 ボランティア通訳とは一線を画す。国際会議や企業の取引などで訪れた外国人の観光案内で、専門的な知識を持った通訳の要請もある。城について様々な視点からの質問に対し、幅広い知識での解説や旅行日程の管理など、要請内容に応じてマッチングができるプロを養成したい考えだ。

 同法人の玉田恵美理事長は「全国通訳案内士の資格を持っていても社会情勢や政策によって左右され、生かせる場を失ってしまっている。2年後には大阪・関西万博も控えており、それぞれの好みに対応できる通訳を養成したい」と話している。

 講座の申し込み締め切りは10月6日。初回は同月21日で最終回は来年1月13日。定員20人。受講料は1万円。問い合わせは姫路コンベンションサポート(079・286・8988)へ。

 ◆全国通訳案内士  日本政府観光局(独立行政法人・国際観光振興機構)が観光庁の代行機関として試験を実施する国家資格。関西広域連合によると、2022年3月末現在の登録者数は兵庫県1362人、近隣では大阪府2098人、京都府1057人など。全国で計約2万7000人が登録している。言葉だけでなく、外国人に日本の歴史や地理、文化などについて幅広く紹介する役割を担う。

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