国連教育科学文化機関(ユネスコ)は7月31日、「水の都」として名高い世界遺産のイタリア・ベネチアについて、存続が危ぶまれる「危機遺産」への指定を勧告した。9月に開かれるユネスコ世界遺産委員会の会議で採決される。
ユネスコは公表した文書で、観光客が押し寄せて住民の生活が害される「オーバーツーリズム」や気候変動などの影響により、ベネチアの普遍的価値が「不可逆的な変化」を受ける恐れがあるとの懸念を示し、イタリア側の対応も不十分だとした。
ユネスコは2021年6月にもベネチアの危機遺産指定を勧告したが、世界遺産委は同7月に指定を見送っていた。
1987年に世界遺産に認定されたベネチアは、国内有数の名所、ゴンドラで運河を巡る観光が有名で、中世にベネチア共和国の首都として栄え、歴史的建造物が多く残る。(共同)