コロナ禍で人員削減した企業の6割が「人手不足」に 東京商工リサーチ調査

新型コロナウイルス禍で人員削減に踏み切った企業の6割が人手不足に悩んでいることが、東京商工リサーチの調査で分かった。一度削減した人員を回復させるのは難しく、高騰する人件費の原資確保が課題になっている。

調査は今月1~8日、全国の企業を対象に行い、6071社から回答があった。コロナ禍が本格化した令和2年2月以降に、「希望退職の募集」「退職勧奨」「整理解雇」「補充採用の停止」のいずれかの人員削減を行った企業は、全体の9・8%。業種別でみると、観光や冠婚葬祭など、コロナ禍の影響の大きかった生活関連サービス業が45・1%で最も多かった。

人員削減を行った企業のうち、61・5%が「人手不足感がある」と回答。飲食店や建設関連、生活関連サービスが目立ち、経済活動が再開されるなかで、一時的に人余りの状態だった業種が人手不足に陥った形だ。逆に「人手過剰感がある」と回答したのは11・4%にとどまった。

人手不足の業種の人件費は上昇傾向にあり、東京商工リサーチでは、「需要の増加が見込める産業に特化した雇用支援など、官民一体の対策が急務」としている。(織田淳嗣)

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