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騒音対策で原則午後10時以降の着陸ができない福岡空港(福岡市)で、羽田発福岡行きの航空機が「門限」を過ぎて引き返す事例が今年3件起き、対策が課題となっている。福岡県などは24時間利用可能な北九州空港(北九州市)での代替着陸の受け入れ態勢構築を図っており、日本航空は今春、同空港を利用するよう運用を見直した。ただ、同空港では機体の整備などができない航空会社もあり、有識者からは「福岡空港の着陸時間の柔軟運用を検討すべきだ」との指摘も出ている。(饒波あゆみ)
周辺に住宅多く
午後9時30分頃の福岡空港を訪れると、ライトをつけた航空機が次々と着陸しており、過密ぶりがうかがえる。同空港はJR博多駅まで約3キロと都心に近く、周辺には住宅も多い。
このため、同空港を運営する企業「福岡国際空港」(FIAC)は、離着陸時間を原則午前7時~午後10時に制限。同社は「悪天候などやむを得ない場合は、事前申請があれば午後10時半までを目安に利用を認めるが、運航準備での遅れなど『航空会社の事由』では承認していない」とする。
引き返し事案が発生したのは2月19日の日本航空331便(乗客335人)。同社によると、機材繰りなどで時間がかかり、定刻より約1時間15分遅れの午後8時頃に出発した。しかし、午後10時前に福岡付近に着いた際、空港が混雑し管制から上空での待機を指示され、同10時を過ぎたという。
約60キロ北東の海上には北九州空港があるが、同便は引き返して関西空港で給油し、翌20日午前2時50分に福岡から約1000キロ離れた羽田に到着した。日航の担当者は「北九州では夜間に乗客を目的地の福岡へ運ぶバスなどを確保できなかった」と説明する。日航によると、利用時間に関わる引き返しは少なくともここ3年ではなかったという。
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