空港の人手不足解消、スマートレーン整備 国交省指針案
国土交通省は1日、空港業務での人手不足の解消に向けた対策の指針案を公表した。最新の画像解析で保安検査の時間を短縮できるスマートレーンの導入などを支援する。保安検査員の処遇改善に向け、保安検査業務への国の関わり方も検討する。新型コロナウイルス禍を上回る旅行需要にも対応できる体制を整備する。
指針案は23年度中にコロナ禍前に近い水準の体制を整備すると盛り込んだ。国交省によると新型コロナ禍前の2019年3月時点で約1万4100人いた搭乗手続きや案内業務などを担う従業員は23年4月までで18%ほど減った。業界に対して賃上げを含めた待遇改善、空港内の労働環境の整備などを求めた。
航空各社や空港会社に対し改善状況の進捗を確認する方針も盛り込んだ。
地方空港の維持も目指す。外国の航空会社が地方空港に就航する際、国内航空大手が仲介し、実際の空港業務は地方企業に委託することが多い。外国航空会社が就航をキャンセルした場合の負担は地方の企業に集中する。指針案は航空業界に需給変動に見合った受託料の引き上げなどを求めた。
保安検査場では長蛇の列ができるなどの問題が指摘されている。検査の時間を短縮できるスマートレーンの導入などを支援する。
保安検査業務の在り方も見直しを検討する。現行法では保安検査の実施主体が明確になっていない。テロの発生時など責任の所在が曖昧になりやすいといった問題が指摘されている。
日本は航空会社が検査会社に委託して実施している。米国などは国が実施主体を担う。国交省は別の有識者検討会で国と企業の役割分担などを議論し、今年中に方向性を打ち出す方針だ。
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