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伊賀市は16日、上野公園や城下町エリアにPFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式で観光施設などを整備する「にぎわい忍者回廊」事業で、中核となる忍者体験施設の基本設計を明らかにした。また、旧上野市庁舎に整備する宿泊機能を備えた新図書館について、市民グループなどから寄せられた意見を踏まえ、修正した基本設計案を示した。(山本哲生)
同日の市議会全員協議会で説明。基本設計は、市が契約する特別目的会社「伊賀市にぎわいパートナーズ」が提出した。
忍者体験施設は、上野丸之内の武家屋敷跡に鉄骨造4階(延べ約1830平方メートル)の建物を新設。市指定文化財の成瀬平馬家長屋門を抜けて入場する。黒を基調とした外観で城下町に溶け込むようにするという。
入場者はヘルメット、イヤホン、ライトを装着してアトラクションを楽しむ。館内は洞窟のような暗闇のイメージで、音と照明などで演出された中を進んだり、忍術修行プログラムに挑戦したりするという。
アトラクション以外の施設も整備する。1階には忍者が生活した寝床を再現した簡易宿泊所とサウナを設け、屋外休憩所にシャワーを備える。2階はお土産コーナーと軽食、ドリンクを提供するテラスなどがあり、4階のレストランでは、伊賀上野城を眺めながら、オリジナルの忍者料理を味わえる。
今後は10月頃までに実施設計を終えて11月頃に着工し、2024年11月頃のオープンを目指す。
一方、新図書館については、1~3月に市民らが参加して計3回開催されたワークショップでの議論を経て修正した基本設計案を上野図書館長らが説明した。
1階は大半を図書館の一般開架スペースとし、北側の一部をホテルのフロント、カフェ、観光案内所、物販エリアなどとする。地下1階には、児童書や絵本を集めた児童開架スペース、おはなし室、閉架書庫などを配置。エレベーターを使えば段差なしで行ける多目的トイレも備えるとした。
2階の大部分は客室となるが、旧議場は学習・集会室として活用。「宿泊者と図書館を利用する子どもらが混在する」という市民らの懸念に対し、ホテル廊下の書架設置を取りやめて宿泊者専用に変更。学習・集会室の周辺は図書館利用者の領域として動線を分けるなど配慮した。
新図書館は6月末までに基本設計を完了し、同月中旬に改めて市民説明会を開く方針。その後は7月頃から11月頃まで実施設計を行い、年内に改修工事に着手する。宿泊施設の開業は25年4月、図書館は26年4月の一部開館を目指し、同年10月に全館オープンするという。