観光庁「海外旅行しよう」 旅券取得キャンペーンも

写真に納まる観光庁の和田浩一長官(前列右から3人目)と日本旅行業協会の高橋広行会長(同4人目)ら=10日、国交省
写真に納まる観光庁の和田浩一長官(前列右から3人目)と日本旅行業協会の高橋広行会長(同4人目)ら=10日、国交省

観光庁と日本旅行業協会は10日、旅券(パスポート)の取得費用補助などを盛り込んだ官民一体の海外旅行促進策を発表した。新型コロナウイルス禍の需要低迷から順調に回復する訪日客(インバウンド)に対し、出国日本人数(アウトバウンド)は伸び悩んでおり、海外旅行の機運を盛り上げて旅行、航空業界の完全復活を目指す。

観光庁と同協会が国土交通省で記者会見を開いた。

同協会は旅行のために10年有効のパスポートを取得した人に抽選で3210人に8千円分の電子マネーを贈るキャンペーンを実施。7月1日~9月30日に海外旅行へ出発する人が対象。観光庁は重点市場に選定した米国やタイなど24の国・地域の政府観光局と連携し、情報発信を強化する。

日本政府観光局の統計によると、3月のインバウンド数は約181万人とコロナ禍前の平成31年同月比で65・8%まで戻った一方、アウトバウンド数は約69万で36・0%にとどまった。日本人のパスポート保有率も元年の24%から昨年は18%にまで減少した。

観光庁によると、アウトバウンドが減少することで、海外の観光地で日本人旅行客の市場価値が低下し、パッケージツアー料金が高くなる可能性が指摘されるほか、航空便数の回復の遅れを招く恐れがある。アウトバウンドは国内の観光業界にとって〝主要な収入源〟となるだけに、需要回復策の要請が強い。

出遅れた背景には、新型コロナ対策の水際対策が各国よりも厳しく、長期化したことで、海外旅行の機運醸成を妨げたことがある。加えて円安や燃油価格の高騰による旅費の割高感があることも影響した。

観光庁の和田浩一長官は会見で「訪日客だけでは、航空便数の回復につながらない。双方向の需要を早く戻すことが重要だ」と語った。(飯嶋彩希)

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