米政府、航空トラブルの補償義務化へ 消費者保護を強化
【ニューヨーク=弓真名】米政府は8日、航空便の大幅な遅延や欠航に際し、航空会社が旅客の宿泊費用などを補償することを義務付けると発表した。米国では2022年冬、寒波の影響を受けた格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空が6割を欠航するなど混乱した。再発を防ぐため、夏の繁忙期を前に消費者を保護する規制の強化に乗り出す。
新ルールでは航空会社の不手際で運航便に欠航や遅延が生じた場合、会社側はチケット代の補償や食事、宿泊や移動にかかる費用などを負担することが義務づけられる見通しだ。近く新ルールの策定作業を始める。いつまでにできるかは明らかになっていない。
バイデン米大統領は同日の演説で「多くの人が遅延や欠航の被害を受けた。許されないことだ」と強調した。ブティジェッジ運輸長官は「今年に入り改善が見られる」としつつ「夏の旅行需要は航空システムに大きな負担をかけることになるだろう」と警戒感を示した。
米国では新型コロナウイルス禍での人員不足や航空管理システムの老朽化が頻繁な遅延や欠航を招いた。
航空各社は運航本数を減らすなどの対策を取っている。ユナイテッド航空など大手航空会社は、米東部ニューヨーク近郊の主要空港や首都ワシントン近郊のロナルド・レーガン空港で夏の便数を減らす決定をした。
新ルールが消費者にどのような影響を及ぼすか、まだ不透明な部分も大きい。航空運賃が高止まりしているなかで、補償を義務付けることは一段の運賃上昇を招く恐れもある。旅行予約サイト「ホッパー」によると、23年初めの航空運賃は22年の同時期と比べて約20%上昇した。
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