ANA、CO2排出実質ゼロの燃料で運航 G7に合わせ
全日本空輸(ANA)は1日、二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロの燃料を使ったフライトを始めた。CO2の排出枠を売買するカーボンクレジットを活用し、製造から輸送の段階での排出が実質ゼロになった燃料を使う。広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて広島空港を発着する便に適用し、国内外に環境への取り組みを示す。
広島と羽田空港などを結ぶ路線で、5月末まで計682便で運航する。1カ月間で約1万トン弱のCO2を削減できる。排出量が実質ゼロになった燃料を使うのは国内の航空会社では初めてという。
INPEXがアラブ首長国連邦で生産したマーバン原油を出光興産が輸送し、同社がジェット燃料に精製する。INPEXと出光がカーボンクレジットを購入して実質ゼロとするが、購入費用はANAが負担する。
ANAは2050年度までに航空機の運航でのCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げる。30年には消費燃料の10%以上を再生航空燃料(SAF)に置き換える方針だ。ただSAFは製造量が少なく、コストはカーボンクレジットに比べ10〜100倍以上かかるといわれている。
ANA調達部の村主典陽部長は「SAFが手に入りにくいなかで、今できることを進めていきたい」と話した。