和歌山・田辺市熊野ツーリズムビューロー 「先駆的DMO」に インバウンド誘客評価

熊野古道方面に行くバスを待つ外国人=今月21日、和歌山県田辺市のJR紀伊田辺駅前
熊野古道方面に行くバスを待つ外国人=今月21日、和歌山県田辺市のJR紀伊田辺駅前

世界遺産に登録されている熊野古道のツアーなどを実施する和歌山県の田辺市熊野ツーリズムビューロー(田辺市)が、観光庁が募集していた「先駆的DMO(観光地域づくり法人)」に選ばれた。難易度の高い「Aタイプ」で、ほかには京都市観光協会のみ。熊野古道でインバウンド(訪日外国人客)の誘客に成功したことなどが評価されたとみられる。

DMOは自治体と連携して観光地づくりを担う法人で、観光庁が平成27年に登録を開始。広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOの3種類があり、今年3月31日現在で270団体が登録されている。

同庁は登録DMOを対象に、世界に誇れる持続可能な観光地域づくりを行う「世界的なDMO」の形成を目指し、「先駆的DMO」を募集。「行政を含む多様な関係者との連携により戦略を実現」「人口減少が進む日本人だけに頼らず、インバウンド誘客も含めた戦略を策定」「戦略策定にかかる人件費や事業運営費などが安定的・継続的に確保される仕組みを構築」など6項目すべてで一定水準を満たしていることが、Aタイプの条件だった。

ビューローは、熊野古道が世界遺産に登録されて2年後の平成18年に設立。熊野古道に外国人や国内旅行客の誘客に成功し、31年3月に地域DMOに登録された。担当者は「歩く旅、巡礼の文化は人気があるとみて、欧米、オーストラリアの個人旅行者をターゲットに旅行業を始めた」と振り返る。

コロナ禍でビューローは苦境に立たされたが、今春に入り、外国人らからのツアーなどの申込件数が急増。熊野古道の玄関口である田辺市のJR紀伊田辺駅前では、外国人の姿が多くなっている。

ビューローでは今後は6月ごろまでに世界的なDMOを形成するための計画をつくり、2年間にわたり観光庁から支援を受ける。

担当者は「これまでの取り組みが認められた。地域全体が活性化できるよう頑張りたい」と話している。

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