大阪万博、キャッシュレス化発表 ブロックチェーン活用
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の運営主体である日本国際博覧会協会は6日、会場内の決済手段を全面的にキャッシュレスにする方針を発表した。クレジットカードや交通系ICカードに対応するほか、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った万博独自の決済アプリを導入する。万博をきっかけに諸外国に比べて低水準にとどまるキャッシュレスの比率を高める狙いだ。
協会の担当者は「キャッシュレス化により支払いの簡素化や現金管理コストなどの低減を目指す」と話した。会場での決済手段を万博史上初めて原則キャッシュレスにする。
独自のスマートフォンアプリ「EXPO2025デジタルウォレット」は、銀行口座やクレジットカードなどから電子マネーをチャージできる。1コイン=1円で会場内のパビリオンや買い物で利用してもらう。万博の会期前でも協賛店舗で使えるようにし地域活性化にもつなげる。アプリは23年度内の提供開始を目指す。
独自の決済アプリは、次世代インターネットのWeb3(ウェブ3)でも使うブロックチェーンの技術を基盤にもつ。アプリの利用に応じてポイントを付与する。ポイントは入場券や記念品との交換や慈善団体への寄付も想定する。万博独自の非代替性トークン(NFT)の配布も予定する。
会場ではビザやマスターカード、JCBなど国際ブランドのクレジットカードのほか、交通系ICカード、QRコードなど約60の決済手段を使えるようにする。PayPay関係者は「キャッシュレス決済をさらに普及拡大させる契機にしたい」と話す。
中国や韓国、タイ、シンガポールなど各国の決済事業者にも参加を呼びかけ、訪日外国人客(インバウンド)の利便性を高める。
国内のイベント会場としては最も多い決済手段を取り扱うことを目指す。「前例のない大きなイベントでの全面キャッシュレスに期待している。利便性を体感してほしい」(大手カード会社)
修学旅行で訪れた学生や高齢者などスマートフォンやキャッシュレスによる決済手段がない人を念頭に、プリペイドカードを会場内でも使えるようにすることを検討する。
新型コロナウイルス下で非対面決済や通信販売の利用が広がり、日本国内のキャッシュレス決済比率は3割超まで伸びた。米欧の6割程度に比べると低いが、着実に拡大している。政府は25年までにキャッシュレス決済比率を4割程度に高め、将来的には8割を目指す。
足元ではクレジットカードや電子マネー、QRコードなどの決済額は22年に111兆円と過去最高を更新した。経済産業省の調査によれば、日常生活で「7〜8割程度以上キャッシュレスを利用する」と回答した人は全体の54%だった。
一方、キャッシュレス決済の推進には専用の決済端末や安定的なネットワーク環境が欠かせない。運営する日本国際博覧会協会や決済事業者には、サイバー攻撃によるシステム障害や不正利用対策が一段と求められる。
2025年に開催される大阪・関西万博のニュースや特集をまとめました。参加国やパビリオン、地元の動きなど最新情報をお伝えします。