ANAとJAL、国内で混合の再生燃料初調達 伊藤忠から
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は30日、伊藤忠商事から日本国内で混合した再生燃料(SAF)を初めて調達したと発表した。伊藤忠がフィンランドのネステから輸入したSAFの原液を、日本でジェット燃料と混合した。国土交通省が行っている実証事業の一環。国内で混合することでSAFの海上輸送時の二酸化炭素(CO2)排出量を7割程度削減できるという。
ANAとJALがそれぞれ伊藤忠から調達した。調達量は明らかにしていない。今後、ANAは成田空港と羽田空港を出発する国内線と国際線の定期便に使用する。JALはまず中部国際空港を出発する国際線の定期便に使い、羽田・成田発の路線にも広げる予定だ。
SAFは植物や廃食油などから作った原液を、化石燃料由来の一般的な航空燃料と混ぜて航空機に搭載する。国内で使うSAFは海外で生産し混合したものがほとんど。SAFの輸入拡大や国内での量産化を見据え、国内のサプライチェーンを構築する。原液だけを輸入することで輸送量が少なくなり、輸送時のCO2排出量や輸送費を減らせる。
国際民間航空機関(ICAO)は国際線の航空機が排出するCO2を24年以降は19年比で15%削減し、50年までに実質ゼロにする方針を打ち出している。日本政府も30年に国内航空会社の燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を掲げており、輸入だけでなく国産SAFの大量生産や供給網の整備が急がれている。
温暖化ガス排出を実質ゼロにするカーボンゼロ。EVや再生可能エネルギー、蓄電池、各国政策などの最新ニュースのほか、連載企画やデータ解説を提供します。