1月前半の消費、コロナ前比10.6%増 サービスがけん引
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく1月前半の消費データを発表した。新型コロナウイルス禍前の2016〜18年の同期平均に比べて10.6%増えた。好調なサービス支出が全体を押し上げ、増加幅は22年12月後半の9.7%から拡大して19年の9月後半(15.6%)以来の伸びになった。
サービスの消費は6.6%増えた。喫茶店・カフェや寿司といった項目で消費が伸びた。1月前半は新型コロナの感染が広がっていたものの、政府は感染対策の行動制限はかけなかった。経済社会活動が維持され、外食の消費は活発だった。政府の観光促進策「全国旅行支援」の再開により、旅行も大幅に回復した。
モノの消費は15.2%増で、12月後半(17.2%)からは伸び幅が縮んだ。百貨店とアパレルは、まだコロナ禍前を下回っている。ディスカウントショップは回復しており、消費者が節約志向を強めている可能性もある。
1月前半の消費全体の好調さを裏付けるデータはほかにもある。ネットリサーチ大手のマクロミルが公表している、全国の20〜74歳の1000人を対象にした調査によれば22年12月29日〜23年1月4日の消費金額は2万2818円。遡れる13年4月以降で最高となった。
ただ、同調査では1月後半にかけて消費金額は減少し、直近1月19〜25日は1万3775円と、前年同週(1万3474円)と同程度の水準に落ち込んでいる。
マクロミルの熊谷信司氏は「行動制限のないお正月から日常に戻り、消費者が値上げの状況を見て財布のひもが固くなっている」と分析する。今後も物価上昇が続けば、コロナ禍からの経済社会活動の正常化で回復途上にある個人消費に水を差すおそれがある。
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