福岡空港で人材急募 保安検査員4割不足、長蛇の列も
福岡空港で「長蛇の列」の発生が常態化している。新型コロナウイルス禍で落ちこんだ航空便の利用客が、国内旅行やインバウンドの再開で急激に回復。保安検査員や預かった荷物を運ぶスタッフなどの人材確保が追いついていない。福岡空港を運営する福岡国際空港(福岡市)は28日、空港内の事業者と連携し初めての合同企業説明会を実施するなど人材確保を急いでいる。
「本来、福岡空港の業務で必要な人数に4割ほど足りていない」。空港内で保安検査業務を行うにしけい(福岡市)の担当者は悲鳴を上げる。利用者の多い休日や週末には保安検査場に長蛇の列ができ、ゲートを通過するまで1時間以上かかることも珍しくない。
福岡空港では2020年5月に月間約14万人まで激減した需要が、22年11月には約178万人とコロナ禍前の19年11月の85%まで回復した。一方、コロナ禍で離職した人は戻らず、需要をまかなうだけの人員を確保できていないのが実態だ。
長蛇の列の解消と、現場の労働負荷の軽減に向けて福岡空港の事業者は人材確保に躍起だ。28日には空港内の事業者による就活生、中途採用希望者向けの合同企業説明会を空港内で初めて実施した。22年秋ごろから人手不足が顕著となったことを受け、事業者で急きょ企画したものだ。年齢も経験も不問。参加者にはお菓子や文具などのお土産も用意した。
会場にはおよそ570人が来場。現在はパーソナルトレーナーをしているという40代の男性は、「人材が不足していると聞き、これまでの経験で培ったホスピタリティーを生かせないかと思い参加した」と話す。
出展したにしけいは経験・未経験を問わず「1人でも多く採用したい」(担当者)と意気込む。入社後の教育制度を充実させ、資格未保有者でも入社後に資格を取得できるようサポートするという。福岡空港では採用専門サイトを立ち上げる予定で、コロナ禍で「不安定な仕事」というマイナスイメージがついてしまった航空業界の名誉挽回を図りたい考えだ。
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