成田空港、ワンターミナルへ…第1・第2・第3を1か所に集約する方向で議論

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

開港から45年を迎える成田空港第1ターミナルの出発ロビー
開港から45年を迎える成田空港第1ターミナルの出発ロビー

 開港から5月で45年を迎える成田空港が転換期を迎えている。コロナ禍後の旅客数の急増予測や乗り継ぎ市場も含めたアジアの空港との競争が激しくなる中、3か所ある現在の旅客ターミナルを1か所に集約する「ワンターミナル」化を目指す方向で議論を重ねている。成田国際空港会社(NAA)を中心に識者を交えた検討会は今年度中にも、将来の成田空港の方向性を示す中間報告をまとめる見通しで、具体的な計画に踏み出す。(竹田淳一郎)

乗り継ぎ需要増

 1978年5月に開港した成田空港は当初、ワンターミナルで運営してきた。旅客数の増加に伴い、第2ターミナルが92年、第3ターミナルが2015年に完成し、三つのターミナルで運営してきた。

 しかし、格安航空会社(LCC)の参入や、国際線の乗り継ぎ需要が増加。分散型ターミナルの複雑な構造が乗り継ぎや移動のしにくさを浮き彫りにした。

 昨年に結成された「新しい成田空港」構想検討会の委員長で、運輸総合研究所所長の山内弘隆氏(一橋大名誉教授)は「国際的な競争力を持つ必要がある」と指摘し、乗り換えが便利なワンターミナルを作る意義を強調する。昨年12月の3回目の会合では、県や成田市、多古町などの首長も含め、ワンターミナル化に異論は出なかった。

乗り継ぎ獲得占有率26%→15%

 NAAがワンターミナル化を進める背景の一つに、アジアのハブ空港との競争激化がある。北米と東南アジアの乗り継ぎ市場はコロナ禍前の19年までの10年間で約2倍に成長した。

 成田空港の乗り継ぎ旅客数は10年の114万8000人から19年には125万9000人に増加した。ただ、乗り継ぎ獲得占有率は、26%から15%に減少。乗り継ぎ旅客数で東アジアでライバルの台湾桃園国際空港(177万4000人)や香港国際空港(156万2000人)、韓国・仁川国際空港(146万8000人)に水をあけられた。

 国際線旅客数でも成田空港は00年の8位(2660万人)から、19年は18位(3665万人)に順位を下げた。NAAの田村明比古社長は「首都圏、日本の玄関口としての成田空港の機能を続けていくためには強化が必要」と強調し、「利便性や効率性を考え、将来的にワンターミナルという形に優位性がある」との考えを示す。

 成田よりも国際旅客数が多いアムステルダム(オランダ)やバンコク(タイ)、イスタンブール(トルコ)などの空港はワンターミナルとなっている。

移動手段が課題

 ワンターミナル化した場合、ターミナルが巨大化するため、移動手段の確保のほか、障害が生じた際のバックアップ態勢、鉄道や道路の空港への導線の変更など課題も多い。

 国やNAAは、年間の発着回数が30年代には30万回を超え、30年代初頭から40年代後半に50万回に達すると試算する。拡大する航空需要に対応するための時間的な余裕はなく、中間報告をたたき台にターミナルの形状や予算規模など具体的な計画を進める必要がある。

スクラップは会員限定です

使い方
「社会」の最新記事一覧
記事に関する報告
3755799 0 社会 2023/01/27 14:36:00 2023/01/27 14:36:00 2023/01/27 14:36:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/01/20230126-OYT1I50224-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

セレクション

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)