大分「宇宙港」いつ? 米社、英からの衛星打ち上げ失敗
大分空港はいつ「宇宙港」になるのか――。航空機を使って小型人工衛星を打ち上げる米ヴァージン・オービット(VO)が、大分での同事業をいつ始めるのかが見通せない。英国からの打ち上げに失敗したためだ。VOと提携している大分県の広瀬勝貞知事は17日の記者会見で「ニーズは非常に高く、間違いなくやるだろうと思っている」と強調したが、視界はまだ晴れていない。
VOは現地時間9日夜の英コーンウォールからの打ち上げで、飛行機から切り離した専用ロケットを宇宙空間へは到達させた。ただ、システムに異常が発生し、衛星を予定軌道に投入できなかった。すでに原因究明に着手し、次に予定している米国からの打ち上げまでに必要な修正措置を終えるとしている。一方、英国からの再打ち上げは「年内のできるだけ早い時期」を見込む。
VOは提携する大分県やANAホールディングス(HD)と協力し、日本での打ち上げ開始に備えている。2020年に県との提携を発表した際、大分空港からの打ち上げ開始の時期については「早ければ22年中」としていた。
VOのジム・シンプソン最高戦略責任者は22年5月に県庁を訪れた際、報道陣に「英国での学びも反映し、大分ではより効率的な打ち上げを目指す」と説明。同時に「100%成功させるため、焦らずに取り組みたい」とし、大分からの打ち上げ開始が23年にずれ込む可能性にも言及していた。
広瀬氏は17日の会見で、大分からの打ち上げについて「我々はとにかくできるだけ早くやりたい」と強調。その上で「しっかりやってもらえるように働きかけていく」と語った。
「デンと構えておくよりしようがない」とも話す広瀬氏は、5期目の任期が満了する4月下旬で引退する。任期中に打ち上げが実現するのかは不透明だ。これまで4度の打ち上げに成功してきたとはいえ、VOにとって今が正念場なのは間違いない。
(松尾哲司)