西武・プリンスホテルズワールドワイドを傘下に持つ西武ホールディングス(HD)の後藤高志社長は14日、大阪市内で11月に開業した宿泊特化型ホテルの記念式典に出席し、上級のフルサービス型ホテルをさらに市内で増やすことに意欲を示した。令和7年開催の大阪・関西万博を念頭に「関西エリアでチャンスを見いだしたい」と述べ、複数の交渉中案件があることを明かした。
開業したホテルはユニゾホテルから運営を引き継いだ「プリンス スマート イン 大阪淀屋橋」(同市中央区、全333室)で、西武・プリンスとしては初の大阪市進出となる。市内ではさらに旗艦ブランド「ザ・プリンス」を始め、「グランドプリンスホテル」「プリンスホテル」での出店も検討している。
一方、西武HDは、新型コロナウイルス禍の打撃を受けた国内のホテルやゴルフ場など計76のうち31の所有物件をシンガポールの政府系ファンドに約1500億円で売却。ホテル運営に特化する西武・プリンスを設立した。
所有と運営を切り離した「運営特化型」のビジネスモデルは、外資系ホテルチェーンの多くが採用。開発資金や固定費の負担をなくして拠点を広げられる利点があり、国内では星野リゾートなどがこの戦略に注力している。西武・プリンスもこの〝世界標準〟ともいえる手法を取り入れ、国内外での拠点拡大を狙う。西武HDの後藤社長は、今後10年間ほどで現在の86ホテルから250ホテルとする目標に言及している。
また後藤社長はこの日の式典で、関西の観光市場について「日本が観光立国から観光大国への道を歩むうえで、歴史や文化、伝統、自然がそろう関西が持つポテンシャルは計り知れない」と指摘。「万博は大きなターゲットではあるが、それにとらわれず積極的に展開したい」と述べ、大イベントの要素がなくても関西エリアが重要な戦略拠点との認識を示した。(田村慶子)