全国旅行支援でも結局旅行会社に税金が 「自治体を挟むことで、人件費が見えづらくなっている」

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 10月11日から始まった全国旅行支援がえらいことになっている。1カ月もしないのに予算を使い切ってしまった自治体が続出しているのだ。まあ、観光地が賑わうのはいいことなのだが、気になるのはあの問題である。

「前回の『Go Toトラベル』(以下Go To)では、JTBなど大手旅行4社と全国旅行業協会(ANTA)などが事務局となりました。国から事務局への委託費用は約1860億円で、そのうち約2割が人件費として使われたことが分かっている。なかでもJTBからの出向者が多く、税金で旅行会社の社員を雇っていると問題になりました」(国土交通省の担当記者)

 当時の内部資料によると、〈事務局長・事務所長 単価(日当)69800円〉〈部長級 単価55300円〉と、結構な額が支払われている。それぞれ年収に直すと1675万円、1327万円だ。

高額の人件費が見えないように

 一方、今回の全国旅行支援では「統一窓口」が事務局だ。補助を受けたい旅行会社や宿泊施設はここに申し込むとあるが、何が違うのだろうか。

「Go To事務局の時は国からの委託でしたが、全国旅行支援は自治体が独自にやっている県民割(東京の場合は都民割)に対して国費を補助するというものです。ですから、『統一窓口』の事務は各自治体からの委託であって、我々観光庁はタッチしておりません。人件費もいくら払っているのか分かりません」(観光庁旅行振興室の担当者)

 でも、それでは国民に分かりにくいし、元をたどれば税金では?

「たしかにそうかもしれませんが、そもそも統一窓口は業者さん(旅行社、宿泊施設)と自治体をつなぐ存在なので、一般の人にあまり関係がないと考えています」(同)

 が、先の担当記者が言う。

「統一窓口はGo To事務局に社員を出向させていた大手旅行会社4社が、ほぼ引き継いでいます(註・ANTAなどは外れている)。しかも、今度は自治体というワンクッションを入れてお金を吸い上げるので、高額の人件費も見えないようになっているのです」

 みなさん、全国旅行支援で得したと思っていたら、もっとおいしい思いをしている会社があることをお忘れなく。

週刊新潮 2022年11月17日号掲載

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