名古屋のホテル、人手不足にロボ活用 従業員の融通も
愛知のホテルが人手不足の解消に奔走中だ。ロボットを生かし、他のホテルと従業員を融通して運営している。政府が観光喚起策「全国旅行支援」を導入。新型コロナウイルスの水際対策も緩和され旅行客が回復しているが、愛知県では宿泊業・飲食サービス業の就業者が2021年平均で22万人。19年平均(24万人)より1割ほど減り穴埋めが追い付かない。
名古屋プリンスホテルスカイタワーの客室稼働率は新型コロナが流行する前の18年度に比べ9割ほどの水準が続く。11月以降は休日やその前の日はほぼ満室になるという。
レストランの人手不足を補うため、11月から「下膳ロボット」を取り入れた。食べ終わった食器を従業員が店内の決まった場所まで運び、ロボットが4~5人分をまとめて運ぶ。
名古屋マリオットアソシアホテルは23年春の新卒採用を22年の2倍ほどに増やす。以前は担当を細かく分けていたが、コロナ禍では従業員が別の部門の仕事も研修を受けて担った。新入社員も複数の現場で働けるようにする。21年12月にはホテルの駐車場からフロントまで荷物を運ぶ運搬用のロボットも取り入れた。
10月の客室稼働率は1年前より22ポイント上がり77%。20年4月以降では最も高い。18年度の9割強まで回復した。
最近はジェイアール東海ホテルズグループで、従業員が行き来して人手を補っている。例えば行楽地のホテルは秋に紅葉狩りでにぎわうが冬は閑散期だ。対して名古屋マリオットはクリスマスや年末年始がかき入れ時。コロナ禍前から始めていたが、全国旅行支援が始まるなどして利用者数が伸びている。予約を細かく確認して、何人を何日に必要なのか、より詳細な応援体制を組むようになった。
名古屋ホテルズ会によると、名古屋市内のビジネスホテルの10月の平均客室稼働率は7割強。4月以降で最も高い。船橋誠会長は「コロナ禍で従業員を減らしたが人数を戻しておらず、募集を出しても集まりが悪い。幹部がフロントに出ているホテルもある」という。
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋は外国人労働者を積極的に生かすようになった。以前から外国人スタッフを雇用していたが、この秋から日本語を話せない人も採用している。宴会場の設営や洗い場などを担う。それまで担当していた人は接客にあたる。
人手不足は外食店でも深刻で、1回限定の単発バイトの採用が目立ってきた。「がブリチキン。」を運営するブルームダイニングサービス(名古屋市)は今夏から専用アプリを生かしている。10月に12店舗で214人を募集したところ、195人が集まった。
単発バイトは、コロナ感染した従業員の代役や新規出店など臨時で人手が必要な場合にも働いている。主に洗い場やレジを担当するが、何度か経験すると正規のバイトになってもらうよう誘うこともある。同社では「時給1500円で6人ほどしか集まらない店でも、単発バイトを募るとすぐに3~4人集まる。こちらは即時採用、働く人にはすぐに賃金を払っており利害が一致している」という。