日揮、コスモ石油らが「国産SAF」新会社設立。24年にも持続可能な航空燃料を供給

日揮HD、コスモ石油、レボインターナショナルの3社は、11月8日、廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の製造・供給をするために、新会社・ SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイア・スカイ・エナジー)を設立したことを発表した。

新会社を通じて、国内初となる国産SAFの大規模生産を目指す。なお、原料は100%廃食用油を利用し、年間で約3万キロリットルのSAFの供給を実施していくとしている。なお新会社の出資割合は、日揮HDが48%、コスモ石油が48%、レボインターナショナルが4%。

国産SAFを3万キロリットル製造

日揮、コスモ石油、レボインターナショナルが新会社を設立した。

日揮、コスモ石油、レボインターナショナルが新会社を設立した。

撮影:三ツ村崇志

世界的に進められている脱炭素の流れの中で、航空業界では「持続可能な航空燃料(SAF)の利用が一丁目一番地」とされている。世界では、フィンランドのネステ(Neste)社が世界最大手のSAFメーカーとして認知されており、日本でも伊藤忠商事での独占販売契約を結び、国内への供給を加速している

しかし今後の需要を考えると、SAF供給は圧倒的に不足しているのが現状だ。

SAFの争奪戦が起きつつある中で、航空業界の安定的な運行のためにも、日本では原料の確保からSAFの製造を国内で安定的にカバーできるサプライチェーンの構築が課題となっていた。

2022年3月には、ANAやJALなどの航空事業者をはじめ、今回新会社を設立した日揮、コスモ石油、レボインターナショナルも含めた複数の企業が業界横断的にSAFの普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」を設立。

日揮、コスモ石油、レボインターナショナルの3社も、2020年夏から合同で国内での廃食用油の収集からSAFの製造、輸送・供給に至るまでのサプライチェーン構築に向けた事業化の検討を進めていた。2021年には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業にも採択。今回の新会社による取り組みも、NEDOの助成事業の一環だとしている。

国産SAFの供給に向けて、レボインターナショナルと日揮HDが原料調達を担い、SAFの製造と需要家への販売をコスモエネルギーグループ(コスモ石油、コスモ石油マーケティング)が担当する。また、SAF製造設備に係る設計・ 調達・建設役務については日揮がカバーすることになる。

新会社によるSAF製造設備は、大阪府堺市のコスモ石油堺製油所内に2023年夏を目途に着工する計画。2024年内には完工し、2024年度下期~2025年度初にかけての運転開始を予定している。また、同設備ではSAF以外にもバイオプラスチックの原料となるバイオナフサや、バイオディーゼルも生産することになる。

なお国内では、バイオベンチャーのユーグレナが、廃食油や微細藻類のミドリムシを原料としたSAFを製造する商業プラントの予備的基本設計を進めている。ユーグレナの計画では、2025年に完成、2026年に稼働を開始し、年間で25万キロリットル以上のSAFを製造するとしている。

(文・三ツ村崇志

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