JR西日本、3年ぶり黒字 利用客がコロナ前の7割に回復

JR西日本の坪根英慈取締役=1日午後、大阪市北区
JR西日本の坪根英慈取締役=1日午後、大阪市北区

JR西日本が1日発表した令和4年9月中間連結決算は、新型コロナウイルスによる行動制限がなくなったことによる鉄道利用客の回復と人件費などの削減効果により、本業でもうけられているかを示す営業損益が338億円の黒字(前年同期は861億円の赤字)、最終損益が645億円の黒字(同686億円の赤字)となった。中間決算の黒字はコロナ禍前の元年以来3年ぶり。

売上高は前年同期比41・2%増の6167億円。このうち運輸収入は52・7%増の3207億円となり、コロナ前の70・8%まで回復した。近畿圏の在来線で76・6%、その他の地域や新幹線でも7割前後まで戻った。

5年3月期通期業績予想は売上高が1兆3090億円、最終利益が585億円とする従来見通しを据え置いた。同社の坪根英慈取締役は記者会見で「コロナの第7波が来ても(運輸収入は)あまり下がらなかった。第8波の影響が心配だが、年末までに9割まで回復するとの当初の予想は変えていない」と述べた。

旅行・ホテル業も好調で収入はコロナ前の7~8割まで回復。坪根氏は「最近の旅行の予約状況はコロナ前に迫る」と語った。

一方、コロナ禍で業務のデジタル化を進めて駅の窓口を減らしたほか、賞与をカットするなどして、コロナ前と比較して540億円の経費を節減した。ただ、エネルギー価格高騰や円安による光熱費などのコスト上昇は5年3月期で200億円を見込み、新たな懸念要因となっている。

採算が取れず存廃が議論となっている地方路線について、坪根氏は「大量輸送という鉄道の特性を発揮できてない。地域の公共交通の中で、利便性と持続性の両面から、どういう姿にしていきたいのか議論を重ねたい」と話した。(牛島要平)

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