米カード大手3社7~9月、そろって増益 旅行需要伸び
【ニューヨーク=佐藤璃子】米ビザなどクレジットカード大手3社の2022年7~9月期決算が27日出そろった。旅行需要を中心にカードの利用が伸び、そろって最終増益となった。景気後退懸念がくすぶるなか、各社は堅調な消費が当面続くとみている。
マスターカードが27日発表した22年7~9月期決算は売上高が57億5600万ドル(約8400億円)と前年同期比15%増えた。純利益は同4%増の24億9900万ドルだった。国内外でクレジットカードやデビットカードの利用が増えた。
国境をまたぐ取引が好調で、海外旅行需要が伸びた。マイケル・ミーバック最高経営責任者(CEO)は「個人消費は引き続き堅調だ」と指摘。インフレなどの経済動向を注視するが、「不確実性の高い時期を乗り越えられる」と指摘した。
ビザやアメリカン・エキスプレス(アメックス)でも旅行需要が業績を押し上げた。ドル高を追い風に米国外に旅行する人が増えた。ドル高による利益の目減りは逆風になったが、カード利用の拡大が補った。
ビザの売上高は前年同期比19%増の77億8700万ドル、純利益は10%増の39億4000万ドルだった。アルフレッド・ケリーCEOは「電子商取引(EC)や海外旅行の需要回復が年間を通して継続した」と語った。「短期的な不確実性は存在するものの、長期的な成長に引き続き確信を持っている」と述べ、堅調なカード利用を見込む。
アメックスの純利益は18億7900万ドルと前年同期比3%増えた。旅行や娯楽に伴う支出は57%増加し、「旅行需要は年間を通じて我々の予想を上回っている」(スティーブン・スクエリCEO)という。
米国では消費者信用残高が高水準で推移している。消費者は新型コロナウイルス禍での過剰貯蓄を取り崩す一方、クレジットカードなどの「リボルビング払い」ローンが大幅に増えており、消費の持続性に注目が集まっている。
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