四国・小豆島町と大洲市、世界の持続可能な観光地100選
香川県小豆島町と愛媛県大洲市が国際認証団体から2022年版の「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選定された。小豆島町はオリーブ産地の再活性化、大洲市は城下町の再生について、持続可能な観光地として高い評価を受けた。SDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした視察・研修旅行などの誘致に活用する。
同TOP100選は国際的な認証団体、グリーン・デスティネーションズ(本部オランダ)が選定した。
国連世界観光機関(UNWTO)などで構成する国際団体、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)が持続可能な観光地についての国際基準と認証制度を定めており、グリーン・デスティネーションズはその認証団体の一つ。観光地管理や環境、伝統文化、幸福度などについて審査する。
小豆島町は2年連続のTOP100選となった。21年版では棚田「中山千枚田」などの保存活動が、22年版ではオリーブによる地域振興が評価された。
同町のオリーブ栽培は輸入品が増えたことで昭和後期に収穫量が減少したが、苗木代の助成や耕作放棄地をオリーブ畑に整備するなどして、産地として復活した。
さらにオリーブオイルはその品質が国際的にも高い評価を受け、同町を代表する観光資源となった。搾油後の果実などを飼料にするなど余すことなく有効利用していることも注目された。
一方、大洲市は今回初めてTOP100選に選ばれた。「伊予の小京都」と言われる古い街並みは一時失われつつあったが、地域DMO(観光地域づくり法人)のキタ・マネジメント(同市)などが中心となり、官民連携で町家や古民家を改修・管理。日本文化を体験する観光地として再生されたことが評価された。レトロな宿泊施設やレストランは外国人客からも注目されている。
小豆島町と大洲市は今後、TOP100選をアピールして観光振興に力を入れる。小豆島には土庄町もあり、両町が連携して島全体で持続可能な観光地づくりに取り組むという。すでに「SDGsバッジ」を製作してPR活動も始めている。
両市町のTOP100選を支援してきたDMOの四国ツーリズム創造機構(高松市)の半井真司・代表理事は「11日には入国制限の規制が緩和され、外国人観光客の回復が期待される中でTOP100選に選ばれた。持続可能な観光地として国際的な認知度向上、外国人観光への強力なプロモーションにつながると期待される」と話し、四国内で持続可能な観光地づくりを水平展開する事業に取り組む考えだ。
(竹内雅人)
SDGsは「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった略語で、国連サミットで2015年9月、全会一致で採択された世界共通の行動目標。国や民間企業の取り組みに関する記事をお読みいただけます。