ANA、中途退職者の再採用を開始 コロナ禍収束見据え
全日本空輸(ANA)は1日、同社の中途退職者の再採用募集を3日に始めると発表した。総合職にあたるグローバルスタッフ職かエキスパートスタッフ職で同社に1年以上在籍し、退職から5年以内の元社員が対象だ。中途採用も再開する。新型コロナウイルス禍の収束を見据え、コロナ禍で退職した元社員などに社外での経験や知見を生かしてもらう狙い。
コロナ禍の影響などで4年ぶりに開催した2023年春の新卒入社予定者向けの内定式にあわせて発表した。入社予定日から過去5年以内の中途退職者を対象にした「カムバック採用」ではエントリーシートや面接などの選考を予定する。対象者数は非公開で、募集人数は若干名としている。
また、3年ぶりに中途採用も再開すると発表した。主にデジタルトランスフォーメーション(DX)や経理・会計などの分野で15人程度を募集する。
内定式は1日午後、東京都大田区の同社施設で開き、内定者91人のうち87人が参加した。井上慎一社長はコロナ禍からの回復を念頭に「いよいよ航空会社として本領を発揮する時が近づいてきた。新たな仲間を迎えて多様性を進化させ、新しい価値を創造していく」と話した。
19年は学生の負担を考慮するなどして開催せず、コロナ禍の影響などで20年と21年も開いていなかった。ANAはコロナ禍の影響で21年と22年春入社の採用について、一部の職種を除いて見送っていた。客室乗務員は23年春入社も採用を再開していない。
式では代表者数人が「入社にむけた想い」をしたためた川柳を披露するなどした。コロナ禍で人間関係が希薄化したことも踏まえ、内定者が思いや夢を語る場にすることを重視したという。
グローバルスタッフ職で入社予定の笹津敏靖さんは「ANAが第1志望だったので入社できてうれしい。(航空業界も)夜が明け始めてきたと思う。マイナスの言葉が飛び交う中でもわくわくできる価値を作っていきたい」と喜んだ。
笹津さんは21年3月に大学を卒業後、一度は他社に就職したものの憧れだった航空業界への就職を志して23年春入社のANAの新卒採用に応募した。
ANAは23年入社の新卒採用では、卒業後3年以内であれば他社に在籍していても新卒採用へのエントリーを受け付けた。内定者のうち17人が22年春までに大学を卒業後、他社に就職するなどしていたという。他社に在籍している内定者への配慮などから内定式は土曜日の開催とした。
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