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新型コロナウイルスの感染拡大は沖縄の観光業を直撃し、インバウンド(訪日外国人)の姿は今もほとんど見かけません。こうした中、気になる調査結果を目にしました。観光産業のイメージダウンが進んでいるというのです。観光は沖縄の基幹産業です。「V字回復」への鍵を探りました。【那覇支局・比嘉洋】
「ベッドメーキングする時はいつもきれいに丁寧に。大事な人を迎えるつもりでやっているよ」。目の前に透き通った青い海が広がる真っ白なビーチ沿いに、大型リゾートホテルが建ち並ぶ沖縄本島西海岸の恩納(おんな)村。それらのホテルを転々としながら客室清掃員として30年近く働いてきた女性(61)は言った。
時給は1100円プラス交通費。時給制の職種としては沖縄県内では高い方だが、月収は平均して13万円ほど。プライベートで沖縄のリゾートホテルに泊まったことは一回もない。「いつもホテルの裏側しか見ていないから、一度でいいから客として表の世界を見てみたいけど(料金が)高いですね」
コロナ禍で客室が稼働しない時期は収入が途絶えた。月額約10万円の国の給付金は書類審査に時間がかかり、実際に現金を手にするまで2~3カ月待たされた。米軍基地で働く夫の収入で家計をやりくりしたが、当座の現金を得るために転職した職場仲間もいる。「でもね、収入が安定していないのは別にコロナに始まったことじゃない。閑散期は待機させられるから、どうしても収入が減る」
県が2022年1~3月に15~74歳の県民を対象に実施した「沖縄観光に関する県民意識の調査」(有効回答2539人)は、興味深い結果を示した。
複数回答で尋ねる「観光産業のイメージ」の項目では、最も多い回答は「休みが取りにくい」(38・7%)。次は「経営が不安定」(29・3%)だ。3位に「仕事を通じて成長できそう」(24・8%)とプラスイメージの回答が出てくるが、4位以下は「体力的な負担が多い」(23・4%)、「残業が多い」(22・9%)、「給与、待遇が悪そう」(22・0%)と、ブラック企業のようなイメージが続く。プラス評価が再び登場するのは9位の「社会に貢献している」(18・7%)だ。
これまでの同種調査と比べると、さらに興味深い。…
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