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沖縄の観光業はブラック? V字回復の鍵は

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「歩行者天国」開催中の那覇市の国際通り。観光シーズンの日曜日ながら新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人通りが少なく、のどかな雰囲気が漂う=2022年8月21日午後3時57分、比嘉洋撮影
「歩行者天国」開催中の那覇市の国際通り。観光シーズンの日曜日ながら新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人通りが少なく、のどかな雰囲気が漂う=2022年8月21日午後3時57分、比嘉洋撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大は沖縄の観光業を直撃し、インバウンド(訪日外国人)の姿は今もほとんど見かけません。こうした中、気になる調査結果を目にしました。観光産業のイメージダウンが進んでいるというのです。観光は沖縄の基幹産業です。「V字回復」への鍵を探りました。【那覇支局・比嘉洋】

 「ベッドメーキングする時はいつもきれいに丁寧に。大事な人を迎えるつもりでやっているよ」。目の前に透き通った青い海が広がる真っ白なビーチ沿いに、大型リゾートホテルが建ち並ぶ沖縄本島西海岸の恩納(おんな)村。それらのホテルを転々としながら客室清掃員として30年近く働いてきた女性(61)は言った。

 時給は1100円プラス交通費。時給制の職種としては沖縄県内では高い方だが、月収は平均して13万円ほど。プライベートで沖縄のリゾートホテルに泊まったことは一回もない。「いつもホテルの裏側しか見ていないから、一度でいいから客として表の世界を見てみたいけど(料金が)高いですね」

 コロナ禍で客室が稼働しない時期は収入が途絶えた。月額約10万円の国の給付金は書類審査に時間がかかり、実際に現金を手にするまで2~3カ月待たされた。米軍基地で働く夫の収入で家計をやりくりしたが、当座の現金を得るために転職した職場仲間もいる。「でもね、収入が安定していないのは別にコロナに始まったことじゃない。閑散期は待機させられるから、どうしても収入が減る」

 県が2022年1~3月に15~74歳の県民を対象に実施した「沖縄観光に関する県民意識の調査」(有効回答2539人)は、興味深い結果を示した。

 複数回答で尋ねる「観光産業のイメージ」の項目では、最も多い回答は「休みが取りにくい」(38・7%)。次は「経営が不安定」(29・3%)だ。3位に「仕事を通じて成長できそう」(24・8%)とプラスイメージの回答が出てくるが、4位以下は「体力的な負担が多い」(23・4%)、「残業が多い」(22・9%)、「給与、待遇が悪そう」(22・0%)と、ブラック企業のようなイメージが続く。プラス評価が再び登場するのは9位の「社会に貢献している」(18・7%)だ。

 これまでの同種調査と比べると、さらに興味深い。…

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