原発賠償、訪日外客は全国の観光業対象に-風評被害は茨城、栃木、群馬も

  • 2011年8月7日(日)

 原子力損害賠償紛争審査会は8月5日、福島原発事故による原子力損害範囲の判定について、中間指針を策定した。外国人観光客の旅行控えによる損害については、日本全国の観光業を対象とし、5月末までに通常の解約率を上回る解約により発生した減収について、損害として認定。また、観光業の風評被害については、第2次指針までに対象としていた福島県のほか、茨城県、栃木県、群馬県に営業拠点がある観光業まで、賠償の対象を拡大した。

 また、中間指針では「観光業」の範囲を、ホテル、旅館、旅行業などの宿泊関連産業から、レジャー施設、旅客船などの観光産業や、バス、タクシーなどの交通産業、文化・社会教育施設、観光地での飲食業や小売業まで含むとした。

 外国人観光客の減少については、事故発生直後から国際機関などで日本が渡航先として安全との情報が提供されてきたとしながらも、海外在住の外国人は日本人との間に情報の格差があり、渡航自粛勧告の措置を講じた国もあることから、外国人観光客の訪日控えについて風評被害の合理性が認められるという。各国の渡航自粛勧告がある程度緩和されたと認められる、2011年5月末までを期間とし、通常の解約率を上回る解約がなされた部分についてのみ、原則として賠償の対象を認めるとした。

 一方、風評被害については、原発事故発生以降の旅行者数の動向、宿泊のキャンセル事例、消費者の旅行意識の調査などの結果、事故が発生した福島県に加え、茨城県、栃木県、群馬県についても風評被害の合理性が認められるとした。4県以外の地域以外に営業の拠点がある観光業についても、福島県との地理的な近接性や、該当する観光業の活用する観光資源の特徴など、個別具体的な事情を考慮する。

 この事情によっては、原発事故を理由とした解約や予約控えなどで減収などが生じていたという事実が認められれば、原発事故と因果関係のある損害と認め、賠償の対象と認められうるとした。

 中間指針が取りまとめられたことにともない、被害者は和解の仲介を審査会に申し立てることができる。審査会では和解の仲介手続きを円滑かつ効率的に進めるため、「原子力損害賠償紛争解決センター」を新設。仲介手続きを総括する「総括委員会」と、事務局として「原子力損害賠償紛争和解仲介室」を設置し、和解の仲介を進めていく考えだ。福島と東京にそれぞれ事務所を設け、15人程度の担当者が「仲介委員」として和解の仲介を担当していく予定だという。

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