黒部観光の玄関口でホテル増築 関電系、訪日客取り込み
関西電力子会社の関電不動産開発は25日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」で2025年秋をメドに新棟を建設すると発表した。黒部ダム観光の長野県側の玄関口に立地し、訪日外国人(インバウンド)の利用が見込める。ホテルの部屋数を4割増やし、グレードの高い内装に仕上げて富裕層を呼び込む。
新棟は30部屋を備え、各部屋で温泉が楽しめる。内装や調度品にこだわった施設にして、宿泊料金の上乗せなど客単価の上昇にもつなげたい考え。北アルプスが一望できるレストランも新たに設ける。
関西電力の黒部川第4発電所(富山県黒部市)を建設する際に使われたトンネルなどが観光客向けに開放される予定だ。高温で硫黄のにおいが漂う「高熱隧道(ずいどう)」や、斜度34度の急傾斜で物資を運んだ昇降機を見学できる。新たな観光ルートの開設で、宿泊需要が増えるとみている。
ホテルが立地するエリアは黒部ダムの建設時に、関電の社員用の宿舎や事務所が建っていた。1965年に「ホテルくろよん」として開業し、88年からはロイヤルホテルなどが運営した。その後、関電グループとIHG・ANA・ホテルズグループジャパン(東京・港)が運営委託契約を結んだ経緯がある。