東急、今後3年で5100億円投資 7割は非鉄道事業に
東急は25日、2027年3月期を最終年度とする3カ年の新中期経営計画を発表した。3年間で計5100億円の投資枠を設ける。そのうち鉄道事業への投資は1500億円で、不動産開発やホテルの改修など非鉄道事業の比率は約7割(3600億円)となる。テレワーク定着の影響で運輸収入の回復に頭打ち感も出るなか、渋谷を起点とした街づくりなど新たな収益源の構築を急ぐ。
成長投資2300億円のうち6〜7割程度を不動産開発に充てる。27年度の完成を目指す渋谷駅直上の高層ビル「渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟」をはじめ、東急線沿線でマンションやオフィスなどの開発を進める。老朽化したホテルの客室やレストランを改装して客単価を上げるなど、既存事業の採算改善にも1300億円を投じる。
株主還元では連結配当性向の目安を30%に設定し、1株あたりの配当金は21円(24年3月期は17.5円見込み)を下限とする。業績や資金状況に応じて自社株買いを検討するほか、株主配当に400億円を投じる計画だ。
27年3月期の売上高にあたる営業収益目標は24年3月期見込み比4%増の1兆800億円とする。不動産事業は今期に分譲マンションの販売戸数が集中した反動で減少する一方、インバウンド(訪日外国人)を中心に観光需要が回復し、ホテル・リゾート事業の営業収益は1326億円と5割増える。交通事業は同6%増の2277億円と全体の2割にとどまる見通しだ。
同社は3月に旅行代理店事業から撤退するなど事業ポートフォリオの見直しを進めており、今後も利益率が低い施設などを対象に計700億円の資産売却を実施する。27年3月期に自己資本利益率(ROE)を今期予想より0.1ポイント高い8%、中長期的に総資産利益率(ROA)を同0.6ポイント高い4%にする方針も示した。
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