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北海道は19日、宿泊客から徴収する法定外目的税「宿泊税」のあり方を考える有識者懇談会の会合を札幌市で開き、徴収する税額を▽1人1泊2万円未満で100円▽2万~5万円未満で200円▽5万円以上で500円――の3区分とするとりまとめ案を示し、大筋で了承された。今後、同案を基に道議会での議論や、独自の宿泊税導入を検討する自治体との調整を進める。
宿泊料金に応じて徴収する「段階的定額制」の新税について、道は当初▽1人1泊1万円未満で100円▽1万~5万円未満で200円▽5万円以上で500円――とする案を示した。
だが、利用客の多い価格帯の1万円前後で税率区分を設定すると、宿泊客に分かりにくいほか、事業者の事務負担も煩雑になるなどの指摘があり、区分の見直しを進めていた。
道内では、既に倶知安町が独自の宿泊税を導入するほか、札幌市や函館市などでも検討が進む。今回の案では、道税は上乗せとなり、「1人1泊5万円未満200円、5万円以上500円」が素案の札幌市の場合、最大1000円の宿泊税が課されることになる。
学校行事で修学旅行は課税の対象外。道では税収を体験型観光「アドベンチャートラベル(AT)」や、次世代移動サービス「MaaS(マース)」の推進など、7分野16項目の観光事業を中心に充てる。
年間の税収想定は、税額100円の区分が当初案より拡大したため、60億円から45億円に下方修正された。会合では「使途の議論をより深めるべきだ」との意見や条例施行後、5年をめどに課税の見直しをする点に「もっと早期に議論を」などと注文がついた。
宿泊税を巡っては、現場の負担増を懸念し「札幌ホテル旅館協同組合」が導入の再検討を道に求めており、事業者や市町村との調整で難航も予想される。槙信彦・道観光振興監は「整理すべき点はまだ多数あるが、議論を受け、道としての考え方をまとめたい」と述べた。
懇談会座長の石井吉春・北海道大公共政策大学院客員教授は「税負担が重く、事務手続きも大変というイメージだが、税額は配慮されたと思う。導入の議論を進める上でスタートすることに意味がある」と話した。