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コートヤード・バイ・マリオット福井総支配人 千代間淳さん６１
３月１６日の北陸新幹線金沢―敦賀間延伸に合わせ、福井駅前に外資系ホテル「コートヤード・バイ・マリオット福井」が開業する。総支配人に就いた千代間淳さん（６１）に意気込みや福井の可能性を聞いた。
――開業まで２か月。準備状況は。
昨年１２月下旬から、宴会場の予約を受け付けている。今年２月頃には従業員の訓練を始めたい。「コートヤード」は高級ブランドではないものの、北陸に外資系のラグジュアリーホテルがない中で、利用客からは「マリオットグループ」の看板への期待を寄せられると思う。それに恥じないサービスを提供したい。
――目指す姿は何か。
駅前に人が集まるきっかけとなる場所でありたい。ラウンジやバーでは、日中からおいしい紅茶やお酒を楽しんでもらえる。東側の洋風レストランはビジネスを含めたランチやディナーに使ってもらえる。ちょっとだけおしゃれをして、家族や友達と食事を楽しむ空間を提供したい。
コートヤードを「福井のショールーム」にする。高層階は窓が大きく、天気によっては雲の上にいるような景色を味わえる。西側は越前海岸まで見渡せるし、東側には新幹線や駅前の恐竜を見下ろせる。内装には
従業員の制服には地場産の繊維を使い、食事を提供する漆器も丹南で作られたものを提供する予定だ。歴史と伝統がありながら、いまも第一線で使われ続けているのが福井の技術。地元企業が県外企業と商談するとき、「これは福井製です」とアピールしてもらえるような場所を提供したい。
――北陸新幹線延伸が県内経済に与える影響について。
「福井」を発信する機会が増える。いまは正直、日本人でも福井はどこか地図で指させない人がいるだろう。県立恐竜博物館（勝山市）や曹洞宗大本山永平寺などの知名度をさらに上げるだけでも、国内需要への影響は大きい。
もう一つは、ビジネス需要だ。鯖江の眼鏡や武生のナイフ、福井の工業繊維など、業界では有名だが一般的にはあまり知られていないブランドは多い。新幹線が開業すれば、愛媛県の今治タオルのように、もっと日の目を見るはずだ。
――インバウンド（訪日外国人客）の増加の可能性は。
東京と１本でつながるため、東からの誘客に目がいきがちだが、インバウンドは意外と、関西空港から京都、金沢を経由して東京に出て行く、という西からの客も多い。
在来線特急「サンダーバード」が敦賀止まりになるが、彼らは乗り換え時間があっても駅の中で買い物するなど自由に過ごすから、あまり悲観的には感じていない。
東西両方から訪れてもらえる可能性が福井にはある。中部縦貫自動車道が全線開通すれば、名古屋にも行きやすくなる。地理的な潜在能力は高い。
――福井の印象を。
今までで一番住みやすい街だと思う。山はすぐそばにあるし、川や海も近い。地元の食材はどれもおいしい。
食べ物は人を呼ぶ大きな要素になる。カニやフグのように必ずしも高価である必要はない。へしこは大好きだし、最近は地域の農産物直売所で見つけた、地がらしを使った漬物にはまっている。おばあちゃんが作るような昔ながらの家庭料理は都会にはないものだ。
ホテルでは、できる限り福井の食材を使いたい。地元の方々が作る普段の料理に今風のアレンジを加え、まったく新しい料理のあり方を提案することが外資系ホテルの使命だと思う。（聞き手・佐藤祐介）
（おわり）
ちよま・あつし １９６２年生まれ、埼玉県出身。８４年に早稲田大法学部卒業後、オーストラリアへの語学留学を経て、８６年からホテルを中心に業務を積む。インドネシアやタイ、シンガポールでの勤務経験を持ち、北海道や京都市のホテル総支配人も務めた。２０２３年から現職。
◆＝ コートヤード・バイ・マリオット福井 福井駅西口に建設された再開発ビルのホテル・オフィス棟（地上２８階建て）に開業予定。３階にエントランスを構え、大小二つの宴会場は４階、レストランは１５階、バーラウンジと宿泊者専用のフィットネスジムは１６階に設けられる。客室は１７～２８階に２５２室。
