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第一交通産業・田中亮一郎社長
自家用車を使って有償で人を運ぶ「ライドシェア」の解禁に向けた議論を、政府が進めている。タクシー不足の問題が発端となって検討が始まったテーマだが、都市部や観光地と地方ではそもそも実情が異なる。安全、安心の観点も含め、ライドシェアの導入が運転手不足の解決策となるのか、慎重に検討してほしい。
地方では人口が減少しており、タクシーの需要も働き手も少ない。地域によっては、特例による「自家用有償旅客運送」制度として、有料で乗客を運ぶ事業が広がっている。タクシー事業者が運営に協力するケースもある。
個人のライドシェアが導入されれば少なからず影響が生じ、場合によっては共倒れになる恐れもある。また、タクシー事業者は安全、安心のために毎年の車検や運転手の健康管理、保険への加入などにコストをかけており、ライドシェアとは土俵が異なる点も議論が必要だ。
一方で、タクシー需要に供給が追いついていない都市部などでは、政府はまず、規制緩和でタクシー台数を増やしやすくしてほしい。
例えば、タクシーの運転手に不可欠な普通2種免許の試験では、細かい地名まで覚えることが必要な地理試験がある。現在ではカーナビゲーションが普及しており、試験の必要性には疑問がある。
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