「奈良にホテル建設を」 知事、都内で事業者に呼びかけ
奈良県が宿泊施設の誘致を急いでいる。山下真知事は21日、都内でデベロッパーやホテル事業者などに向け、初めて直接、呼びかけた。県の担当者と企業の個別相談会や交流会も開いた。世界で知られる観光資源を多く抱えながら全国で最も低い水準の客室数を増やし、消費が伸び悩む「日帰り観光地」からの脱却を目指す。
「『(だまっていても客がくる)大仏商法』と呼ばれる風土を変えていく。県内への進出を前向きに検討していただきたい」。山下氏は同日のセミナーに集まった約80人の事業者らに強調した。歴史遺産や食の魅力のほか、最大で2億円を補助する県の制度も紹介した。
県内では8月に旧知事公舎を活用した「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」(奈良市)が開業するなど、超高級ホテルのオープンが続く。県内の客室数は計1万室を超えたが、都道府県別では44位(2021年度)にとどまる。奈良県内を観光した後、近隣の大阪や京都などに宿泊する旅行者が多いためだ。
県企業立地推進課の大内卓久課長は「奈良市中心部に偏らない県中南部への(ホテル建設の)誘致にも力を入れていきたい」と話す。セミナーには県中央部の吉野町の中井章太町長も登壇し、修験道などを活用した今後の観光やまちづくりについて説明し、参加者に直接協力を呼びかけた。
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