キャリチャ

HIS、上場以来初の最終赤字250億円、コロナ禍で大打撃の20年10月期連結決算

  • 2020年12月11日
澤田氏

 エイチ・アイ・エス(HIS)は12月11日、2020年10月期(2019年11月1日~2020年10月31日)の通期連結業績を発表した。

 売上高はコロナ禍により半減し、前年比53.2%の4302億8400万円にとどまった。営業利益はコスト削減等の対策を講じたものの前年比486億7000万円の減益となり、311億2900万円の営業損失となった。経常利益は、為替差損の減少などで営業外費用が圧縮されたものの営業利益の大幅減を受けて312億8300万円の経常損失となった。助成金収入などの特別利益が110億5500万円にのぼったものの、臨時休業等による特別損失も119億9600万円増えて128億7300万円に膨らみ、税引前利益は331億100万円の赤字、純利益は250億3700万円の赤字となった。

 通期業績が最終赤字になったのは2002年の上場以来で初めてのことだが、2020年度の業績予想として9月に示された売上高4240億円、営業損失367億円、経常損失360億円、純損失318億円より実際の状況は改善。GoToトラベル効果とコスト削減努力が上振れの理由となった。

 財務状態については、有形固定資産が前期末比で約551億円増加したものの、現金・預金が前期末比で約1239億円減少、旅行前払金も同約448億円減少、そのほか受取手形及び売掛金の減少や投資有価証券の減少もあり、総資産は1627億9500万円減の4146億400万円となった。純資産は前期より約254億円少ない984億2100万円となったが、前期比では79.4%と「75%以上」を維持することができたため、財務制限条項には抵触しなかった。

事業セグメント別の業績では唯一エネルギー事業が売上増加

 旅行事業の売上高は前期比50.2%減の3596億3100万円で、営業損失は211億2700万円。コロナ禍のダメージが大きかったのは主力の日本発海外旅行で取扱高は67.1%減の1322億8800万円まで落ち込んだ。一方で、コロナ禍後に強化した国内旅行取扱高はGoToトラベル効果もあって54.1%減に踏み止まり、281億2400万円となった。

 旅行事業のその他のカテゴリーは、訪日旅行が76.9%減の68億4400万円、海外法人インバウンドは39.6%減の1107億4800万円、海外法人インバウンドは7.0%減の1119億2000万円などとなった。

 テーマパーク事業の売上高は51.3%減の136億8400万円で、営業損失33億9300万円、ホテル事業は売上高が31.5%減の86億8500万円、営業損失35億6400万円となった。九州産交グループは売上高が13.7%減の191億7700万円で、営業損失は21億3200万円だった。

 事業セグメントの中で唯一売り上げを伸ばしたエネルギー事業は、売上高が29.0%増の263億9300万円、営業利益は発電所の開業コストを計上したため83.2%減となったものの1億6300万円の営業利益を確保した。

海外旅行はハワイ、アジア、グアムの順番で需要回復と想定

会見はオンラインによるライブ配信もおこわれた

 今期は現時点でコロナ禍の今後が見通せないこともあり第1四半期までの連結業績予想を発表した。HIS代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏によると「2021年度第1四半期はコロナ禍前の2020年第1四半期半期との比較になるが、売上高は1636億円の減収で360億円、営業利益は137億円減益だがコスト削減効果と粗利回復を見込み100億円の赤字、経常損失も98億円の赤字に留まる」と予想している。

 主力である日本における旅行事業は、「海外旅行の需要回復局面までは徹底的に国内強化を図る」(専務取締役の中森達也氏)としており、GoToトラベルの活用や海外旅行事業からの人員シフト、商品増強を図り2021年度は2019年度比3倍の売上高を目指し、23年度までには4倍成長を達成するとしている。実際に国内旅行の受注状況は10月が前年比81%、11月107%、12月145%、1月185%となっており、GoTo効果が鮮明になっている。

 また海外旅行事業に関しては、過去の危機においてもピンチをチャンスに変え、9.11やリーマンショック、東日本大震災、ヨーロッパのテロ多発の前後で2~3ポイントのシェアアップを果たしてきており、「アフターコロナの反転速攻によるシェア拡大を目指す」(中森氏)としている。また方面別の需要回復シナリオについては、ハワイ、台湾・シンガポールなどのアジア、グアムの順番で回復し、最後にロング方面の欧米・中近東が回復すると見ているが、グアムまで戻った段階で需要全体の65%をカバーできるとしている。

店舗はデジタル化、飲食や人材派遣などの新規プロジェクトに期待

 店舗戦略については統廃合を進めており、2019年度の国内259店舗をすでに212店舗まで縮小。今後は2021年度第1四半期までにさらに58店舗削減し154店舗まで絞り込む計画だ。一方で集客のメインチャンネルをオンラインに転換する。その一環としてデジタル化した店舗でビデオチャット等を利用したモニター接客を行う方針で、2021年1月からテストスタートする。

 澤田氏は決算発表会見において、コロナ禍を機に立ち上げた飲食事業やホテル・旅館再生事業、人材派遣、農業などの新規事業プロジェクトに注力していく方針も表明。「飲食事業ではすでに、そば店を2店開業したが、まずは小さく始めた。行けるとなればヒト、モノ、カネを一気に投入して100店舗、200店舗を目指す。人材派遣についても、飲食や農業の現場で必ず人手不足が生じるとみており有望な事業となるはずだ」と期待を述べている。

※訂正案内(編集部 2020年12月12日12時30分)
訂正箇所:第7段落第1文
誤:ホテル事業は売上高が41.5%減

正:ホテル事業は売上高が31.5%減
お詫びして訂正いたします。

関連ニュース