エミレーツ日本支社長、空港や機内の感染防止対策を強調、国際線ネットワークも徐々に拡大へ

  • 2020年10月19日
アルマリ氏

 エミレーツ航空(EK)は、ウェビナーを開催し、日本支社長のサレム・アルマリ氏が、ドバイの新型コロナウイルス感染対策の現状や同社の安心安全な航空旅行に向けた取り組みを説明した。

 ドバイではショッピングモールなどの施設や公共交通機関では入場時に検温が行われ、ホテルやアトラクションもガイドラインに沿った対策を進めているなど感染防止に取り組んでおり、国境も今年7月7日に開放した。

 EKの対応としては、ドバイ国際空港でチェックインカウンターや搭乗ゲートでの感染防止対策を徹底してるほか、乗客に対しては搭乗96時間前のPCR検査を義務化。また、乗客にはマスク、ウェットティッシュなどをセットにした衛生キットを配布するなど、旅行者の旅行に対する自信を取り戻す取り組みを進めている。

 機内では、客室乗務員と乗務員は防護服を着用。1時間半以上のフライトでは、機内サービスを提供する客室乗務員に加えて、客室サービスアシスタントも搭乗し、45分ごとにトイレの清掃を行うなど、機内の衛生環境を保つ取り組みを実施している。また、機内食については、シンプルなパッケージによる温かい食事の提供を再開。毛布や枕などは、乗客自身が抗菌済みシールを剥がすことで、安心して利用できるサービスを提供している。

 また、アルマリ氏は、EKが今年8月から開始した「新型コロナウイルスの無料補償」制度についても説明した。これは、すべての乗客を対象に、EKのフライトで感染が判明した場合に最高15万ユーロ(約1,500万円)の医療費、14日間の隔離期間1日あたり100ユーロ(約1万2,500円)を補償するもの。出発日から31日間有効で、今年12月31日までのフライトに適用される。アルマリ氏は「航空会社として、はじめて補償制度を導入した。旅行業界からも好評を得ている」と話し、今後適用期間を延長する可能性があると付け加えた。

 このほか、機内の換気について、最新のHEPAフィルターによって、2〜3分以内にすべての空気が入れ替わるシステムを紹介し、飛行機は感染対策において「安全な輸送機関」であると強調した。

 EKは、今年3月25日からすべての運航を休止していたが、4月からはドバイ/関西線を週4便で、ドバイ/成田線を週5便で再開した。現在のところ、世界94路線で旅客輸送を行っており、10月21日からはブダペスト線、11月1日からはボローニャ、デュッセルドルフ、ハンブルグ線、11月4日からはリヨン線を再開する予定。アルマリ氏によると、需要の回復スピードは遅いものの、現在は東欧やアフリカからの旅行者が戻ってきているという。

 日本からの旅行者については、現在でもゼロではないものの、日本に帰国した際に14日間の自主隔離が求められていることから、回復にはもう少し時間がかかるとの見通しを示した。ただ、日本からの貨物需要については好調に推移しており、特に自動車部品、医薬品、農産物などの輸送が多いという。

 「ニューノーマルの旅行は、これまでとは異なる」とアルマリ氏。依然として将来への不確実性が強いなかで、「EKは、ニューノーマルで求められる生体認証、非接触などのテクノロジー開発に積極的に投資していく」考えを示した。また、来夏には延期される東京オリンピック・パラリンピックが開催されることに触れ、「日本は、住民や旅行者を感染から守る新たに施策を打ち出してくるだろう」と話し、それが海外旅行の本格的な再開につながることに期待感を示した。