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観光産業向け給付金とファンド創設を、サービス連合が緊急要請

記者会見の様子(サービス連合より提供) サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)はこのほど、「コロナ禍及びコロナ後における観光産業の維持・再生にむけた緊急要請」の説明会を開催し、観光に関係する省庁に対して要請の内容を説明するとともに、改めて実現を訴えた。サービス連合は6月末から7月にかけて観光庁、農林水産省、立憲民主党、国民民主党の代表者らに要請を実施している。

 7月14日に開催した記者会見でサービス連合会長の後藤常康氏は、今回で3回目となる緊急要請を実施するに至った経緯について「緊急事態宣言解除後もコロナ感染は減少せず、人々は行動することに不安を感じている。観光産業は人が動いて初めて商売が成り立つもの。このままの状況が続けば私どもの産業そのものがなくなってしまう危機を感じた」とコメント。

 そのうえで、後藤氏は日本国内での旅行消費額が2018年で26.1兆円に上り、消費総額547.1兆円の4.7%を占めており、その生産波及効果は55.2兆円、付加価値誘発効果は27.4兆円におよぶ、とその産業規模に触れ、観光産業が日本の基幹産業の一つであることを強調。一方で観光産業は一部を除くと大半は中小企業や個人事業者が支えており、各事業者の手元流動性比率は低く、ぜい弱な財務体質となっていることを指摘。「すべてのプレーヤーが健全な事業を運営できないと旅行という商品が成立しない」という考えで、支援策を求めていくと語った。

 具体的な救済案として緊急要請の柱となっているのが「観光産業持続可能給付金制度(仮称)」だ。これは12ヶ月分の人件費を中心に借入金利、賃料、水道光熱費などの事業経費を融資形式で補填するもので、雇用や労働条件を守った事業者は返済免除とする。観光産業であれば事業規模にかかわらず対象となる。

 「現在でも無利子・無担保融資や給付、助成制度はあるが、このままでは残念ながら効果は薄い。宿泊業の事業者など、すでに借り入れをたくさんしているところもあり、もうがまん比べも限界にきている」と後藤氏。

 緊急要請のもう一つの柱となっているのが公的金融機関の資金などによる「観光ファンド(仮称)」の創設で、コロナ後も見据えて、経営基盤がぜい弱である観光産業を計画的、戦略的に維持・再生していくための仕組みづくりもめざす。

 また、政府の観光支援策「Go To トラベル」キャンペーンに関しては「一筋の光明であり、受け入れ側ではガイドラインに沿って、できる限りの対策を講じている」としつつも「“こんな時期に”という声があることは十分承知している。タイミングが早いか遅いかというよりは、客観的で合理的な説明がなく“だから安心して”というメッセージが伝わらないままのスタートを危惧している」と述べた。