『コロナ奮闘記 Vol.11』日本が開かなければ、海外旅行再開はない!-風の旅行社 原優二氏寄稿

  • 2020年6月3日(水)

日本が開かなければ、海外旅行再開はない!

風の旅行社 原優二
風の旅行社代表取締役の原優二氏

 やっと、海外への扉が開きそうだ。6月1日、政府が、入国制限緩和第一弾として、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4か国との間で、各国が自国出国前にPCR検査をして陰性証明書発行。日本入国時に再検査。陰性なら入国を認めるという仕組みを想定し検討に入った旨、マスコミ各社が報じた。うまくいけば、夏から業務渡航の扉が開く。

 しかし、現在は、日本人が海外へ行けば、どこの国へ行こうが、帰国時には14日間の自主隔離を要求される。しかも、公共交通機関は使えないし、保健所等による健康確認の対象となる。これでは、海外旅行は、事実上不可能である。しかも、5月25日には、この水際対策を6月末まで1か月延長してしまった。なんとももどかしい。

 スペインが7月から、台湾は10月から外国人観光客の受け入れを再開すると表明し、ギリシャ政府は、6月15日から「感染収束国」に限定して、外国人観光客の受け入れを再開する。そういわれても、日本が、この水際対策を続ける限り、これらの国に行くことは事実上できない。

 その水際対策の仕組みを、以下にまとめてみた。

①法務省
イ) 法務省が「入管法」に基づき入国拒否対象国として111か国を指定
ロ) 査証制限等(査証の効力停止、査証免除措置の停止など)の措置を6月末日まで延長

②厚生労働省
イ) 入国拒否国対象国111か国は、日本入国に際しPCR検査必須。陽性・陰性共にも14日間の自主隔離。保健所等による健康確認の対象
ロ) 入国拒否国対象国111か国以外の国は、PCR検査は不要だが14日間の自主隔離。保健所等による健康確認の対象
ハ) 外国との間の航空旅客便の減便等による到着旅客数の抑制要請の6月末日までの延長(検疫を適切に実施する観点から実施。厚労省からの要請かは不明)

③外務省
全世界に対して一律にレベル2(不要不急の渡航は止めてください)を発出。従前の危険情報として渡航中止勧告(レベル3)や退避勧告(レベル4)を発出している国・地域もあり。

 ちなみに入国拒否国対象国には、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国 (香港及びマカオを含む)、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、米国(欧州など他は省略)が入っており、少々驚いてしまう。

 もうお分かりと思うが、14日間の自主隔離がなくならない限り、海外旅行は事実上できない。恐らく、7月に入れば、111か国の入国拒否国対象国が半分くらいに絞り込まれ、その他の国は、相互協定ができた国から業務渡航を皮切りに、検査を介することで、陰性なら14日間隔離なしで入国を許可していく方向に、日本政府は動き出すと思う。もちろん、観光目的の海外渡航まで行きつくには、かなり時間がかかる。国によっても濃淡はあるだろう。グアムやハワイあたりから開いていくと勢いがつくのだが。

 こうした状態まで持っていくには、検査キットの開発により20分ほどで検査結果が出るようにすることだ。そうすれば、空港の検疫所での検査も容易になり、航空便減便要請や成田などへの空港限定もなくなるだろう。この検査能力の向上、短時間化こそ、海外旅行再開にとって、決定的に重要である。本日、6月2日、厚労省は唾液でのPCR検査を認める通達を出した。少しずつだが前進している。

 もう一つ重要なことは、経済活動を維持するための検査へ道を開くことである。今回、北九州市において、濃厚接触者は、無症状であっても全員PCR検査受けるように変更された。驚いたことに、従来は、濃厚接触者でも症状のない人は検査をしていなかったのだ。なんと、今回、北九州で5月23~31日に判明した97名の感染者のうち、過半数の52人はPCR検査時に無症状だったのだ。

 これで、いかに今まで無症状の感染者を野放しにしてきたかが露呈されたが、この方向転換に拍手を送りたい。やっと、日本は、医師が必要と診断しなくても検査をおこなう方向に転換したのである。これが、韓国のような徹底した検査と隔離につながり、更には、経済活動を維持するための検査へつながる大きな一歩になることを切望する。そうしなければ、居酒屋もレストランも、劇場も生きていくことはできない。

 まだまだ、海外旅行再開までには道のりは遠いが、少し視界が開けてきたと思う。とにかく、7月が注目である。ここでその先のことが見えてくるはずだ。但し、検査なしで入国できることは理想だが、それでは第2波がきたらまた国境が閉じてしまう恐れがある。当面は、PCR検査で陰性なら入国できる仕組みにすべきである。そうすれば、第2波が来ても閉じる必要はない。

 その代わり、大規模な隔離施設を準備することが条件になる。言わずもがなだが、医療崩壊を防ぐことは最も重要な課題である。また、陰性証明書を相手国が求めるなら、日本で海外渡航を目的とした検査が受けられる仕組みを作っていただきたい。

 国民総検査を日々実施することは不可能だし、検査に100%の信頼が保証されない以上、安全・安心を可能な限り担保するためにガイドラインは大切である。しかし、ガイドラインを守るだけでは、海外旅行は再開できない。日本が、クラスターが発生しても、徹底した検査と隔離で無症状感染者を封じ込め、検査による水際対策を徹底すれば、国際的な信頼を勝ち取ることができる。そうすればインバウンドも、アウトバウンドもすべてが見えてくる。オリンピック開催だって可能になる。JATAも関係各所やオリンピック委員会への働き掛けを始めたようだ。くどいようだが「徹底した検査と隔離」、これが鍵である。

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