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JTB、19年度は売上6%減、コロナで1000億円失う-黒字は確保

  • 2020年6月1日

 JTBの2020年3月期(19年4月1日~20年3月31日)の通期連結業績は、売上高が前年比5.8%減の1兆2885億6900万円、営業利益が78.0%減の13億9300万円、経常利益が15.5%減の25億4800万円、純利益が16億4900万円(前期は純損失151億1600万円)となった。ゴールデンウィーク10連休などの追い風があったものの、今年に入ってからの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、売上高および営業利益、経常利益は減少。純利益については、前年度の海外子会社の採算性悪化や基幹システムの開発中止などによる赤字を黒字に戻した。

 売上原価は5.8%減の1兆64億4800万円、売上総利益は5.8%減の2821億2200万円、販管費は4.2%減の2807億2900万円だった。ちなみに同社によれば、20年3月期におけるCOVID-19による売上高の減少は約1000億円で、営業利益の減少は150億円程度という。

 旅行事業の売上高の合計は6.8%減の1兆735億9300万円で、このうち海外旅行は6.2%減の4401億1800万円、国内旅行は10.2%減の4545億500万円、訪日旅行は11.5%増の683億9400万円、海外発海外などの「グローバル旅行」は4.2%減の1105億7600万円。7.2%減の696億2800万円となったMICE事業や、商事事業や出版事業などを含む「その他の事業」は前年並みの2149億7600万円だった。

 海外旅行のセグメント別売上高は、ルックJTBは3.4%減で団体は9.5%減。1月から3月までについては、ルックJTBは18.4%減で団体は32.1%減だった。国内旅行についてはエースJTBが14.0%減、団体が4.2%減で、1月から3月までについてはそれぞれ40.1%減、37.3%減となった。

 21年3月期の連結業績予想については「現時点では合理的な算定ができない」との理由から発表を控えた。同社によれば、5月22日時点における4月から6月までのルックJTB の販売人員数は0で、エースJTBは98.0%減。今後については、一時的な「緊急コスト削減」と「抜本的構造改革」を経営の最優先課題と位置づけて、短期集中的に取り組むとしている。

 なお、COVID-19による影響の見通しについては「20年度中に収束に向かい、当社グループの売上水準は20年度期末までにほぼ過年度の水準まで回復することを見込んでいる。また、過去のSARSなどの類似インシデント発生後の市場分析に基づき、21年度には需要の反動が発生する可能性が高く、22年度以降はその反動が落ち着き、一定の水準に戻ることを想定している」との見方を示している。